群馬の高校野球2023夏 前橋商業高校編② 坂部 羽汰

ケガや病気を乗り越えたエースが、1点も取られない投球で憧れの甲子園へチームを導く。

坂部 羽汰(さかべ・うた)
3年・投手
2005年9月20日生まれ、前橋市立大胡中学、172㎝・68g、右投右打

――今春の大会では、準々決勝で前橋育英と対戦し8回に4点を取られて6-7と逆転負けをしましたが、7回まで6-3と試合を優位に進められたのは自信につながったのではないですか。

自分たちも前橋育英と途中まで互角に戦えたのは、夏の優勝の可能性もあるなと感じ、そこから夏に向けて練習に励んでいます。

――8回は守備のミスもあり、3打席連続で四球を出しましたが、制球が乱れたのは疲れからだったのですか。

そうですね。今までにないほど序盤から飛ばしていった感じだったので、後半は体力が持たなかったというのもあります。夏に向けてそこが課題になるので、ピッチング練習をした後に、ランニングをしてスタミナをつけるようにしています。

――食事の面で気を使ったりしているのですか。

食べる量は増えています。練習の時にマネージャーがご飯を炊いてくれるんですけど、量を多めに食べるようにしていて、冬はおにぎりを作ってもらって、積極的に食べるようにしていました。それは今も継続しています。

――体重はどれぐらい増えましたか。

冬から大体5、6キロは増えて、今は68キロです。

――夏はどんな投球をしたいですか。

テンポのいい投球が自分の武器だと思っていて、コントロールにも自信があるので、夏はテンポよく打者を打ち取っていきたいと思います。

――現在の最速はどれぐらいですか。

城南球場で146キロを計測しましたが、144~5キロぐらいです。春の大会以降の練習試合では142キロが最速なんですが、自分としては球速よりも球のキレやコントロールを重視しているんです。そのために下半身に重点を置いたウェイトトレーニングを毎日欠かさずやっています。そのおかげで冬明けから腿(もも)が2回りぐらい太くなったと周りから言われています。

――ピッチャーとして、参考にしているプロ野球選手はいますか。

参考にしている選手は特にいないのですが、オリックスの山本由伸選手の最終回まで一人で投げ切るところはカッコいいと思います。チームが点を取ってくれなくても勝てるところがすごいです。

――夏はどんな投球がしたいですか。

自分一人で投げ切るような気迫で投げていきたいです。

――得意としている球種は?

スライダーです。

――縦のスライダー? それとも横のスライダー?

横のスライダーです。たまに縦のスライダーを使ったりします。

――持ち球は何種類ありますか。

ストレート、カーブ、スライダーの3つです。カーブは結構、球速差をつけています。

――前橋商が甲子園に出るとしたら、現在中日にいる後藤駿太さんの時の2010年以来になりますね。今年の群馬はとてもいいピッチャーが揃っていますが、坂部君が手ごわいなと思う県内のピッチャーは誰ですか。

練習試合で対戦したんですけど、健大の小玉湧斗選手が頭一つ抜けていると感じました。少し連絡をとったこともあるんですけど。

――小玉君のどんなところが頭一つ抜けていると思ったのですか。

とにかく一人で投げ切る力と、ストレートで押していくところで、ピッチングも圧倒的だなと思いました。

――坂部君はいつから公式戦で投げているのですか。

1年の秋に背番号1をつけていて、その秋が終わって腰をケガしてしまって、2年の春はベンチに入れなかったんですけど、2年の夏は背番号20番でベンチに入りました。

――腰のケガとは?

腰椎分離症です。半年ぐらい休んで春に復帰したんですけど、そこで今度は肺気腫になりました。2年の秋からはずっと背番号1番で投げています。

――この夏の目標を教えてください。

群馬は健大、前橋育英と強豪校がいるので、そういうチームに勝って甲子園に行くのを目標にやっていきたいです。個人的には1点を取られないことを目標に投球を磨いていきたいです。

<了>