太田市、オープンハウス、群馬クレインサンダーズの三位一体で夢のアリーナを実現

 太田市運動公園内に建設予定の新アリーナ「OTA ARENA」(仮称)の概要が、5月13日に東京で開催された記者会見で発表された。同会見では、群馬クレインサンダーズの運営会社である㈱群馬プロバスケットボールコミッションの親会社・㈱オープンハウス(本社/東京、代表取締役社長/荒井正昭・太田市薮塚本町出身)からの地方創生応援税制(以下、企業版ふるさと納税)を建設費用の財源にすることも併せて公表された。自治体、運営会社、企業との三位一体で建設されるOTA ARENAの着工は今年7月で、2023年春の完成予定。

文/星野志保 資料提供/群馬プロバスケットボールコミッション  2021年5月13日公開

OTA ARENAのイメージ

 OTA ARENAの目玉は、日本最大級の可動式センタービジョンと、コートから浮かび上がる劇場型照明システムだ。どの方向からも試合が見やすいように工夫されているという。選手専用のロッカールームやVIPルーム/VIPラウンジも備えるなど設備も充実。収容人数は5000人と、今年4月にオープンした沖縄アリーナの同1万人に比べると半分の規模ではあるが、コンパクトなアリーナながら、アリーナを訪れた人に最高の観戦環境を提供することを重視した。㈱群馬プロバスケットボールコミッション取締役であり、㈱オープンハウス・ディベロップメント常務取締役印開発事業部長の吉田真太郎氏は、「ディズニーランドのようにワクワクするようなアリーナにしたい」と以前、本サイトのインタビューで語っていたが、そんな夢のアリーナが実現しそうだ。

日本最大級の可動式のセンタービジョン
客席からコートが浮かび上がるように見える劇場型照明システム

 

選手専用のロッカールーム

  OTA ARENAの総工費は約78億5000万円。人口22万4000人の太田市にとっては大きな負担がかかる。スポーツビジネスを通じた社会貢献や地方創生をテーマに掲げていたオープンハウスが考えたのが、企業版ふるさと納税を財源に充てて、太田市の建設費の負担を減らすことだ。企業版ふるさと納税とは、企業と地方のつながりを強化するための国の地方創生の施策である。企業がこの制度を利用して地方自治体のプロジェクトに寄付することで、企業として社会貢献ができるだけでなく、税軽減効果も期待できる。寄付金額の約6割を法人関係税から控除できるだけでなく、損金算入による軽減効果と合わせれば、最大で9割の税額控除が見込めるのだ。オープンハウスの寄付金額は公表されていないが、太田市にとっても建設費の負担額が減るのは大きい。太田市はすでに、企業版ふるさと納税の国への申請を済ませている。
 注目すべきポイントは、企業版ふるさと納税を利用したアリーナの建設が、スポーツを利用して地方創生を図りたいと考えている自治体の地域共創のモデルケースになることだ。人口減少や企業撤退などで、財源難の危機に直面している自治体にとってアリーナの建設はあまりに負担が大きく高いハードルであるが、この企業版ふるさと納税を利用することで、そのハードルも低くなる。アリーナができれば、クラブは集客に力を入れ、多くの観客が訪れることで自治体も潤う。太田市の周辺地域人口は83~84万人。清水聖義市長は、「周辺地域との関係を強め、周辺地域人口83~84万人で応援できる体制を作っていく」と意気込む。また群馬プロバスケットボールコミッション代表取締役社長の阿久澤毅氏も「バスケットを観る環境づくりに取り組んで、必ず(日本一のチームになるという)結果を出したい」と力を込めた。OTA ARENAを核とした群馬クレインサンダーズとオープンハウス、太田市の三位一体の活動が、地域共創のモデルとして多くの地方自治体から注目を集めるだろう。
 このOTA ARENAは、サンダーズのブースターにとってワクワクするような場になるだけでなく、サンダーズでプレーする選手にとっても「ここでプレーしてみたい」と思えるような群馬を象徴する「夢のアリーナ」になるはずだ。
 地域共創という三位一体のプロジェクトがついに動き出した。

<了>