群馬の高校野球夏2023 桐生第一高校編② 佐藤礼恩

「最弱から最強へ」。最強だった先輩たちを超えるには、人間味を磨くことが必要。

佐藤礼恩(さとう・れおん)
3年・内野手
2005年5月30日生まれ、西毛ボーイズ(富岡市立富岡中学校)出身、170㎝・70㎏、右投右打

――佐藤君は、お兄さんの詩恩君も桐生第一で、2020年夏に行われた甲子園高校野球大会交流試合にも出場しています。佐藤君は甲子園に行って、桐生第一を応援していたと聞いています。お兄さんと同じチームを選んだ理由は何だったのでしょうか。

 桐生第一は2020年の夏の大会で甲子園出場を決めていたのですが、コロナの影響で大会が中止になり、センバツ出場が決まっていたのに、(1試合だけの)交流試合になってしまいました。自分も兄の(悔しい)思いを晴らしたいという気持ちと、甲子園でプレーした先輩たちの姿に憧れて桐生第一を選びました。

――その時の交流試合で縦縞のユニフォームを着た先輩たちを見てどう思いましたか。

 相手は強豪の明石商業だったんですが、桐生第一の粘り強い野球がカッコいいと思いました。

――お兄さんからは桐生第一に進むことを決めたときに、何と言われたのですか。

 野球をやるための素晴らしい環境が整っていて、甲子園を目指せるチームだからいいんじゃないかと言われました。

――今春の大会では、前半は2-0と健大にリードしながら6回に大量得点を奪われ敗れましたが、善戦した試合だったと思います。夏に向けて出た課題はどんなところだと思いますか。

 序盤は自分たちの流れだったんですが、後半、一気に4点を取られたのと、逆転された直後の7回表に1アウト1、2塁の場面で自分が打てなかったのも悔やまれます。もしそこで1本打っていれば、違う展開になっていたかもしれません。

――バッティングの課題は?

 自分はランナーを返さなければならない打順なので、ランナーが出てからタイムリーを打つとか、そういう勝負強いバッティングが課題だと思います。

――では、自分のバッティングの良さは?

 自分は体が小さいんですけど、やっぱり思い切り(バットを)振れるのが持ち味だと思っています。初球からフルスイングできる。逆方向に長打が打つのも得意です。

――春の大会で健大のエースの小玉湧斗君と対戦しましたが、県内では最速の150キロを投げますが、小玉君の印象はどうでしたか。

 今まで見たことのないスピードとキレがあり、あの球を打てないと甲子園に行けないんだなと感じました。
 練習で、どうしたら打てるのかと考えながらマシンで速い球を打ったり、バットの出し方を研究したりして、小玉選手の球に対応できるように練習に取り組んでいます。

――夏の大会に向け、中京大中京、横浜高校、東邦、花巻東などと、全国レベルの強豪校と練習試合をしています。自分たちの力がついてきたと実感していますか。

 いや、自分たちは力がないんですけど、強豪校との戦い方は分かってきて、彼らとも十分に戦えるんだということも分かりました。

――チーム力を上げるために取り組んでいることはありますか。

 野球でチーム力を上げるんじゃなくて、野球以外の学校生活からチーム力を上げていこうと、皆で話をしました。野球は「表」の部分で、皆が見ているところだと思うんですけど、清掃など誰も見ていないところもしっかりやれば、人間性が磨かれ、チーム力がつくと信じているので、自分もそれを大切にしています。

――その精神って、桐生第一に代々受け継がれているものなのですか。それとも佐藤君の代になってからですか。

 自分たちの代になってから、そういう人が見ていないところも大切にしようとみんなで話し合いました。春の大会が終わってからより一層そういうことを大切にしようと思っています。

――グラウンドに掲げられているスローガンが「人間味溢れるチーム~最弱から最強へ~」になっていますが、あのスローガンは誰が決めたのですか。

 新チームになった時に、みんなで話し合ってスローガンを決めました。

――自分たちを最弱としたのは何か理由があるのですか。

 (1つ上の)先輩たちには力があって、最強と言われていたんですけど、それでも勝てなかったんです。それで野球以外の部分が大事なんだと感じて、先輩たちに比べたら自分たちは本当に力がないので、最弱でも人としても良くなれば勝てるようになるんじゃないかと皆で話し合って、スローガンに「最弱から最強へ」とつけました。

――キャプテンとしては、夏の大会までに強化したいポイントはどこでしょう。

 この1年、メンバー、メンバー外に関係なくチームで戦ってきたので、1つの目標に向かって皆で戦っていけば甲子園が見えてくると思うんです。チーム一丸となって同じ方向を向いて戦っていきたいと思います。

――練習試合でも、前半は良くても後半から崩れることが多いですが、力があるのに同じパターンで敗れることが多いのは、メンタルの部分が影響していると思うのですが。

 監督からは、「メンタルが弱いというのは、考え方が悪い」と言われているんです。メンタルが弱い人は悪い方向に考えてしまうのだと気づき、自分もそういう傾向があったので、監督の言葉に納得しました。例え結果が出なくても悪い方向に考えるんじゃなくて、良い方向に行くと考えるようにしています。

――2020年に甲子園高校野球大会交流試合に出場したお兄さんたちの姿を、甲子園の球場で見ているのは、星野竜河君と佐藤君だけです。甲子園でプレーすることの意義をチームメイトに伝えることができますね。

 甲子園でプレーしている先輩たちの姿を甲子園で見ているのは自分と星野だけなので、甲子園でプレーする素晴らしさを皆に伝えていきたいですし、甲子園の舞台を絶対に経験したいと思います。

――今年の群馬は例年になく、いい投手が多いと思います。激戦が予想される中で、夏の大会にかける思いを教えてください。

 どんな相手でも先を見ないで、まずは1戦1戦戦うだけだと思っています。目の前の試合に集中することだけ考えます。個人としては、勝利に貢献できればいいと思っているので、個人の成績よりもまずはチームを優先し、自分のできることを精一杯やりたいと思っています。

<了>