山上信吾(常磐高出身)が、NBP復帰の舞台に地元の球団を選んだ理由と意気込みを語る

群馬ダイヤモンドペガサス
山上信吾

2017年のドラフト会議で、常磐高校から巨人に育成ドラフトで2位指名され、2018~20年までの3年間をNPBで過ごした山上信吾。支配下登録は叶わなかったが、日本を代表するピッチャーたちの練習を間近に見たことで、プロで活躍する選手たちのレベルを体感した。巨人時代に、グラブに「群馬県民」と刺繍したほど郷土愛にあふれている山上。今年は群馬ダイヤモンドペガサスでNPB復帰を目指す。
12月7日に行われた入団会見に笑顔で臨んだ山上。入団の経緯やNPBを目指す意気込みなどを聞いた。

取材/星野志保(Eikan Gunma編集部)

――ペガサスに入団した経緯は教えてください。

山上 一番の目標はNPB復帰です。地元群馬でずっと野球をやってきて、いろんな方々に恩返しをしたいと思っていて、そういう方々に一番近くで見てもらうためにも群馬で野球がしたいと強く思ったので、球団の方に自分から入団させてくださいとお願いしました。

――NPBへの復帰を目指すに当たり、克服しなければならない課題は何だと?

山上 自分はNPBにいたので、ある程度、「このレベルに行けば」と言うのがわかります。今は球速をもう少し上げたくて、155キロは出したいと思っています。それから、コントロールの精度が足りないのと、変化球の精度……、いろいろ足りないことが多いので、ペガサスで課題を克服して、NPBに復帰したいと思っています。

――3年間、NPBにいましたが、こうすればよかったという思いはありますか。

山上 自分の中である程度はやることをやっていたのですが、その方向が少し間違っていたんじゃないかと思ったりしました。課題であるコントロールの練習では、投げ方というより、体の使い方や体の構造を勉強したり考えたりした中で少しずつ良くなっていったという感じがしました。良いときと悪いときの引き出しが3年間で見えてきたので、その引き出しを大事にしてこれからに生かしていきたいと思っています。

――巨人時代、上手くいかないときに、コーチにアドバイスを求めたりしたことは?

山上 自分が巨人にいるときは、杉内俊哉さん(19年から投手コーチ)だったり、山口鉄也さん(20年から投手コーチ)だったり、いろんな方々とお話をして、「こうしたほうが良いんじゃないか」といろいろとアドバイスをいただいたんですが、なかなか自分の思うようにはいきませんでした。体の構造などをしっかり勉強した上で、そういったアドバイスを聞いておけばよかったのかなあと思っています。

――NPBに復帰するために、やろうと思っていることは何ですか。

山上 もちろん(NPBに)いて、1軍の選手の投げるボールやバッティングを目の前で見ているので、「自分もこうならなきゃいけないな」「ああいうバッターをしっかり押さえるには何が必要なんだろう」といろいろ考えた中で、球速だけじゃなくストレートの球威だったり、キレだったり、数字に表れないバッターの体感だったりを大事にしていきたいです。

――3年間、巨人に所属していましたが、影響を受けた選手は誰ですか。

山上 菅野智之さんです。ブルペンを見させてもらっていたんですが、球の質だったり、変化球のキレだったり、キャッチャーの構えたところにしか球がいかないコントロールの精度の高さを目の当たりにしました。しかも力感なくボールを投げているので、投手としては何ランクも上のレベルの選手なんだと、ブルペンを見ていて感じることが多かったですね。

――来季に向けた体づくりはいつから始める予定なのですか?

山上 1月から巨人で一緒だった戸郷翔征(投手)と自主トレに行く予定です。そこで本格的な体づくりを行います。戸郷は年下なんですが、巨人のときに仲が良かったんです。戸郷のように一軍で活躍している選手とキャッチボールやブルペンを一緒にすることで、上のレベルをしっかり見ておきたいというのもあります。自主トレには巨人のトレーニングコーチの方にも来てもらえるので、ウエイトトレーニングなどをしっかり学び、群馬に戻ってきても自分でやれるようにしていきたいと思っています。

――体づくりでは食事も大事になりますね。

山上 巨人時代はしっかり寮で栄養管理されていました。毎日、体重と体脂肪を計っていました。自分はすぐにやせてしまうので、ちょっと投げたり、連投したりすると、すぐに体重が減ってしまって、なかなか体重が増えないんです。巨人のときは一人ひとりに目標設定体重が出されるんですけど、自分の場合は92キロなんです。今、86キロなので、筋肉量を増やしながら92キロまで体重を増やしたいと思っています。それができれば、自分の最高のパフォーマンスが出せるんじゃないかと思っています。

――球の質を上げる練習でしていることはありますか。

山上 指先だったり、腕だったり、そういう細かな面も鍛えて、その中で球にかかるスピン量だったりを上げていきたいですね。

――そういうことは巨人にいたから気付けたことですか?

山上 高校の時は何も考えずに野球をしていたなと、プロに入ってから感じました。上のレベルでやっている人を見て、いろんな人から話を聞いた中で、自分も「こうしなきゃ」といといと考えたりして、巨人に入ってから野球に対して深く考えるようになりましたね。

 再び、NPBに復帰するという夢を叶えるため、地元の球団でのプレーを選んだ山上。巨人で体感したレベルの高い選手になるために、ペガサスでの奮闘が始まる。

<了>

■Profile
山上信吾(やまがみ・しんご)
1999年9月21日生まれ、太田市出身。太田市立綿打小学校1年時に野球を始め、綿引中学校から常磐高校に進学。2017年のプロ野球ドラフト会議で巨人から育成ドラフト2位指名を受けて入団し、支配下登録を目指して3年間、野球と向き合った。巨人退団後の21年にヌーベルベースボールクラブに所属するも、同年5月にはルートインBCリーグの神奈川フューチャードリームスに入団した。2022シーズンは地元でNPB復帰を目指したいと、群馬ダイヤモンドペガサス入りを決めた。投手、背番号15。持ち球はストレート、カーブ、スプリット、フォーク、カットボール。最速152キロ。184㎝・86㎏、右投右打