オプアリを群馬が誇るエンタメ空間にしていきたい。

群馬クレインサンダーズ
吉田真太郎GM

2023年4月15日にオープンハウスアリーナ太田(オプアリ)で群馬クレインサンダーズVS宇都宮ブレックスの杮(こけら)落しの試合が行われた。建築工事が終わってからわずか1週間で迎えたオプアリのオープンは、オープンハウスの担当者、群馬クレインサンダーズのフロント、演出に関わる人たち、太田市の行政、そして建設会社といったこのアリーナの建設に関わったすべての人たちの情熱が伝わるものとなった。当日の内覧会の後に行われた吉田真太郎GMの囲み取材の内容を紹介する。

――今日を迎えるにあたっての心境は?

 この日を迎えるためにオープンハウスグループがM&Aをした時から、日本を代表するアリーナを造るということでスタートしたので、この日を迎えられてホッとしています。アリーナ完成までには多くの道のりがあり、何とかここまで迎えられました。これからようやくスタートできるなという印象です。

――改めて、このアリーナの売りは何でしょう

 さきほど、いろいろ見て感じていただいたと思いますが、会場に来ていただいて、非日常空間を味わってもらいたいというのが我々の狙いでもあります。私が最初に掲げたのが「東京ディズニーランドにしたい」ということ。2020年にアリーナを造ると決めた際に、このアリーナを太田市や群馬県が誇れるエンタメ空間にしていきたいと思っていました。
 オープンハウスグループがM&Aをするのが決まって、最初に私がサンダーズの試合を視察に行った時の観客数は数百人ほどの数えられるぐらいのお客様しかいませんでした。今日は観客数が30倍ぐらいは増えていると思います!(4月15日の観客は5262人)。

――今、多くのお客さんが開場を待っていますが、彼らの表情を見て、何を感じましたか。

 いろいろなお客様にアリーナを見に来ていただいて、(試合を)心待ちにしている様子を見て、一つのアリーナ、一つの球団を通して、一つの町を盛り上げていけるのではないかというのをお客様を通じて感じさせてもらいました。
 演出には、とてもこだわりました。多分、今までの日本のバスケットボールの、Bリーグの(演出の)概念を超えています。目指していたものがNBAなので、それにどれだけ近づけたかを見ていただきたいなと思います。

――このアリーナを造るに当たり、スタッフをNBAに視察に行かせていますね。

 そもそもこのアリーナを設計するところでどういうアリーナがベストかというのをすごく勉強して、スタッフをアメリカに視察に行かせて研究しています。予算が限られている中で、何を優先して造っていくのかも決めていきましたが、イメージ通りのものができたと思っています。

―― 一番参考にしたNBAのアリーナはありますか。

 このアリーナのビジョンは、シカゴ・ブルズのユナイテッド・センターのものに近いと思います。NBAのチェイス・センターだと総工費約2000億円と、ちょっと次元が違いますが、NBAのアリーナのいろんな部分を参考にさせてもらっています。

――バスケットの試合は年間60試合ぐらいですが、それ以外でビジネスとしてどのように稼いでいくのかを教えてください。

 まだ具体的にこうやっていくというのは決めていないですが、やはりバスケットボールを通して群馬クレインサンダーズ、このアリーナ、このエンタメがすごく魅力的なものになることによって、さまざまなイベントを招致できると思っています。まずは我々が突っ走ることで、いろいろなところを見せていきたいと思っています。そして、アリーナの価値を上げていくことができれば、その後、一緒にやりたいというところが出てくるのではないかと思います。
 将来は、このアリーナをバスケットの聖地にしたいです。沖縄に素晴らしいアリーナがありますが、ここは本州初です。しかもバスケットボールに特化したアリーナなので、さまざまなバスケの大会も誘致したいと考えています。

――チームはチャンピオンシップに進出できませんでした。今シーズンの残り試合で選手たちに何を求めますか。

 まずは残りの試合を一つひとつ勝つことです。今日勝てば、昨シーズンの成績(25勝)を超え26勝するという記念すべき日です。勝って昨シーズンを超えたいですね。

――昨晩は、よく寝られましたか。

 ぐっすり眠れました。実は、会場で流す映像を落とし込めるかギリギリで、今朝すべてそろい、リハーサルも先ほど終わりました。

――オープンの1週間前倒しはいつ決めたのですか。

 今シーズンが始まる前にこのアリーナでできるのは4月の4試合かなと思っていたのですが、1週間前倒しの発表をする前日に4月15日のオープンを決めました。

――計画から3年というスピード感でアリーナができたのはなぜでしょう。

 ブレずにやれたことです。
 オープンハウスグループの理念の一つとしてスピードを意識することがあります。計画から3年経ちましたが、クラブのビジョンに賛同してクラブを成長させてくれているフロントスタッフ、選手、コーチ、太田市長はじめ行政の方々、設計に関して細かな所まで付き合っていただいた梓設計様、素晴らしいアリーナを建設していただいた関東建設工業様、サポートしていただいている企業様、そして応援していただける多くのファンの皆様がいたからこそ、ここまでの短期間でたどり着いたと思います。

――3年という短い期間でアリーナを造ることは大変だったと思いますが、そのモチベーションになったものとは何ですか。

 オープンハウスグループが(荒井正昭社長の出身地である)群馬の地で球団経営をすることになったとき、どうやって国の課題である地方創生を、球団、アリーナ、地元で解決できるのかを考えました。地元にとっての誇りになれるか、群馬クレインサンダーズに関わる人たち、地元の方々が誇れる町になって発展していけるのかという思いがモチベーションになりました。

ーーオプアリについて選手たちの反応はいかがですか。

 (今シーズン、琉球から移籍してきた)並里成に言わせると、「沖縄アリーナよりもいい」と言ってくれました。動線はもちろん、音響、照明、エンタメに特化した大型ビジョン、練習場、NBAのようなロッカールーム、選手たちをケアするアイスバスや風呂もあって、Bリーグの中ではトップクラスのアリーナだと思います。

<了>