群馬の高校野球2022 夏の注目校 利根商業③

髙橋 輝(投手・3年)

かつて敵将として父と決勝戦で戦った福田監督の下で
父の悔しさを晴らすときが来た!

 利根商のエースナンバーを背負う髙橋輝には、この夏にかける思いがある。1993年、当時、利根商の選手だった髙橋の父は、決勝戦で福田治男監督が率いる桐生第一と対戦して敗れているため、髙橋は「私立を倒したい」との思いから、父と同じ利根商を選んだ。今夏は、その福田監督が率いる利根商のエースとして、桐生第一との対戦を楽しみにしている。
 髙橋がエースナンバーを背負ったのが1年の秋からで、1年夏にも試合に出場している。そんな髙橋が投手を始めたのが中学3年生の時だった。それまで捕手をやっていたが、ケガで投手がいなくなったチーム事情で投手に転向。だが、捕手をやっていたことが幸いし、打者がどんな球を狙っているのか、どうやって相手打者を打ち取るのかがわかった。
 高校に入ってすぐに、福田監督から「下半身が使えていないよ」と指摘された。「自分はコントロールが悪かったんですけど、下半身の使い方を指導されたらめちゃめちゃよくなりました。福田監督は厳しい時もあるけど、優しいし、教え方が上手いので、技術の向上にもつながります」。かつて敵将として父と戦った監督に、髙橋は全幅の信頼を置く。
 夏のチームの目標は、もちろん「優勝」だ。昨夏はベスト4、昨秋はベスト8、今春は新型コロナウイルスの影響で準決勝を辞退したものの危なげなくベスト4まで進出。利根商は、「北毛の雄」として過去2回の準優勝を経験しているものの、まだ優勝はない。その優勝に向けて髙橋は、冬に走り込みをしてスタミナをつけ、コントロールを磨いてきた。
 今春の準々決勝の関東学園附属戦では、「投げた球がコースに決まり、抑えることができました」と制球力に自信が持てた。1年生の夏から試合に出ているため「強豪チームと対戦しても全然ビビらないです」と、公式戦の経験の多さも武器にする。
エースとして自信をつけた髙橋が楽しみにしているのが、前橋育英の岡田啓吾と桐生第一の三塚琉生との対戦である。「強打者なので、抑えたいなと思います。手ごわいと思います」
 これまでチームが成し得なかった優勝に、福田監督やチームメイトと共に挑む。

<了>

■Profile
髙橋 輝(たかはし・ひかる)

2004年10月2日生まれ、沼田市出身。小学2年から白沢ベアーズで野球を始める。白沢中学では軟式野球でプレー。中学3年の時に捕手から投手に転向。高校1年夏から試合に出て、その年の秋にはエースナンバーを背負う。最速141㌔。持ち球は、ストレート、カーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリット。右投右打、169㎝・68㎏。