群馬クレインサンダーズ ヘッドコーチ
水野 宏太
8月29日、オープンハウスアリーナ太田で報道陣向けに練習が公開され、その後、水野宏太ヘッドコーチと新キャプテン、新加入選手の囲み取材が行われた。その時に水野HCが語った今季の目標、新キャプテン選出の意図、今季のチームの戦力を紹介しよう。
今季のチームの目標は、チャンピオンシップ(CS)に出場して、その先の優勝という頂(いただき)にチャレンジすることです。そこを目標として、今シーズンできることをやっていきたいと思います。
今季のキャプテンは、並里成(なみざと・なりと)選手とトレイ・ジョーンズ選手にお願いしました。ダブルキャプテンにした理由は、互いが持っていないものを補い合い、しっかりとリーダーシップを発揮してほしいということ。シーズン中はアップダウンがあるので、1人のリーダーだけではなく、1人のリーダーが困っているときに、もう1人のリーダーが補うというようにしてチーム作りをしていくのが狙いです。
なぜこの2人の選手を選んだのかというと、彼らは周りの選手からリスペクトをされていて、発言力、影響力も含めて、力のある選手だと思っているからです。
並里選手に関しては、精神的によりステップアップしてほしいという願いを込めて、チームでのパフォーマンスだけではなくて、結果を出すようにチームを導いていってほしいと思っています。今、彼は、ベテランの域に差し掛かっています。チームをまとめる力を発揮できれば、今後のキャリアのステップアップに繋がります。彼もこの役割を担いたいと思ってくれたのもありますし、クラブとしても彼にそういう役割を持って、より成長してほしいとの思いがありました。
ジョーンズ選手に関しては、昨シーズンは副キャプテンをやってもらって、彼がチームにもたらしてくれたものはすごくポジティブなものであったと思っています。その経験を踏まえて、彼とも話し合った中で、さらなる役割(キャプテン)というものをやっていきたいという彼の思いもありました。
副キャプテンは、昨季のキャプテンだった野本建吾(のもと・けんご)選手にお願いしました。もし昨季に戻ってキャプテンを選ぶとしたら、また野本選手にやってもらいたいと思っています。僕が就任1年目でこのクラブの文化を作ろうとした中で、昨季、野本選手をキャプテンにしたのは、どんな状況でも背中でしっかり物事を語れる選手だからです。どんなに苦しい状況であっても、やることをしっかりやるし、そういう姿をチームに見せてくれる選手だからです。それを踏まえた上で今季、CS進出、そしてその先の優勝という頂に挑戦するために、どんな苦しい状況になってもやり切る精神を野本選手がチームに見せてくれると期待しています。今季は、やり切ることを一つのテーマにしていますが、それを体現する象徴が野本選手です。副キャプテンになっても、彼の持っている良さ、役割は昨季と特に変わりません。
今季、新たに加入した辻直人選手、コー・フリッピン選手は、練習から競争することを示してくれたり、キャプテンや副キャプテンをいい意味でフォローしてくれたりしてくれるのではないかと期待しています。チームはキャプテンと副キャプテンだけで作っていくものではありません。それ以外の10人の選手も含め、全員が一体となってチームを作っていかなければならないからです。
■以下、質疑応答
――今季の目標は、CS進出とその先の優勝を目指すとのことですが、新加入選手も加わり、その条件が整ったということか。
今季は、タレントが揃ったチームだなと思います。ですが、タレントが揃っているのは僕たちだけではありません。目標は、「優勝」ではなく、まずはCSに出場してから、「優勝という頂に挑戦する」ということです。なぜこういう言い方をするのかというと、僕たちはまだCSに出たことないチームだからです。なので、優勝を目指す前に、僕たちが叶えなきゃいけないのはCS出場です。僕たちは、自分たちの足元をおろそかにしたくないので、CSに出たら、その先の優勝に挑戦するという言い方をしています。
――今季の補強ポイント。
補強のポイントとしては、ゲームをクリエイトできる選手を増やしたことです。コー・フリッピン選手に関しては、ドライブでクリエイトできる選手、辻選手に関しては、(戦術的に)外からの3ポイントを増やせる。昨季、僕たちは3ポイントシュートの試投数がリーグで下から2番目なんです。今季は外のシュートを打てる選手が増えているので、どうしたらいい形でシュートを打てるのかを考えながらやっていきます。
――ダブルキャプテンについて。足りないところを補っていくとは?
ジョーンズ選手は口数が多い選手ではないのですが、一つひとつのことをきっちりやる選手です。そして、チームの求めていることに対してきちんと応えてくれる選手です。仲間が沈んでいるときに精神的に支えることもしてくれます。言葉で言うタイプではなく、行動で見せてくれる選手です。
一方、並里選手に関しては、言葉に出すタイプです。何か言葉をかけて欲しい時に並里選手が話したり、行動で示して欲しい時にジョーンズ選手がそれをしてくれる。今季、ダブルキャプテン制にしたのは、このように、互いに違った方法でリーダーシップを示してくれるんじゃないかと期待したからです。
ただ、いい意味での変化がありました。口数の少ないジョーンズ選手が、結構、練習中に他の選手とコミュニケーションを取ったり、今日の練習の中でも上手くいかない時に「続ければいいよ」と、チームメイトに声をかけてくれるようになりました。彼本来のリーダーシップの発揮の仕方から、「言葉で伝える」という新しいリーダーシップの発揮の仕方にチャレンジしてくれているのだと思います。
並里選手が見せるリーダーシップに、ジョーンズ選手が何かを感じながら、そしてジョーンズ選手が見せるものに並里選手が何かを感じながら、互いに成長していけるのではないかと思っています。ダブルキャプテン制というのは自分にとっての初めてのことで、面白い方向に行くのかなと思っています。
――開幕まで約1月。ファンの皆さんへ一言。
まずは、目標に向かって一日一日の練習をしっかりやって、練習から競争して、試合に勝つために準備していきます。
皆さんの応援が僕たちの闘志になると思っています。「サンダーズの目標=応援していただいている皆さんの目標」だと思っていますので、その目標を叶えるために共に戦っていきましょう。
<了>