群馬の高校野球2023 明和県央高校編② 野寺日翔

創部以来初の準優勝に導いた野寺のキャプテン力

野寺日翔(のでら・にちか)
3年・内野手・キャプテン
2005年8月23日生まれ、吉岡町立吉岡中学校出身、171㎝・68㎏、右投右打

一人ひとりの個性が強いチームをキャプテンとしてまとめているのが野寺日翔だ。時にはぶつかり合いながら、互いを理解し、チームとして成長してきた明和県央野球部は、昨秋に創部初の県大会準優勝を成し遂げ、関東大会にも出場し、創部40年のチームの歴史を塗り替えた。

取材/Eikan Gunma編集部

――キャプテンの野寺君から見て、明和県央野球部はどんなチームですか。

 仲がいいチームだと思います。以前は、ピッチャーを中心に守り勝つスタイルだったんですけど、だんだんと体力もついて打撃力も上がり、いいチームになったんじゃないかと思います。

――野寺君自身、バッティング強化のためにどんなことに取り組んできたのですか

 冬はロングティーをチームでやってきたりしたのが、春の大会の2ケタ安打につながって準優勝という結果につながったのだと思います。

――新チームになって、キャプテンに指名された時に、一回、断ったと聞いています

 小学校と中学校の時もキャプテンをしていたのですが、自分は人前に立って話すのも苦手だし、人を率いていくのも得意ではないので、断りました。

――チームの投票で3人がキャプテン候補に挙がったそうですね。その中に名前があったのは、チームからの信頼があったからなのではないですか。最終的に、キャプテンを引き受ける決断をしたのはなぜだったのですか。

 監督から、「お前がチームの中心だし、チームをまとめる力があるからやってくれないか」という言葉をいただいたんです。でも自分では普通のことをしていただけだと思っているんです。

――練習に一生懸命に取り組む姿勢や練習に手を抜かないところなどを評価してくれたのですね

 やっぱり、そういうところをちゃんと見ていてくださって、監督やチームメイトから評価してもらえたのは嬉しかったです。

――個性派揃いのチームを率いる上で大変だったことはありますか。

 3年生から代を受け継いで新チームになった時、チームをまとめるのに一番苦労しました。自分もやりたくないことは人任せにしてしまったこともあって、最初はチームとしての団結力もなくて、皆と違うことをやっている選手もいたりして、チーム全員が同じ方向を向いているのではなく違う方向を向いていたと感じます。

――そんなチームをどう団結させたのですか。

 秋の県大会で勝ち進むうちに、自然と団結力も高まっていきました。

――先ほど、人前に立って話すのも苦手と言っていましたが、こうして話をしていてもそんな感じは受けないですけど、今ではその苦手意識を克服したのですか。

 少しは慣れてきました(笑)。一回断ったのは、何か気の利いたことを言わなきゃいけないというのがプレッシャーだったからなんです。

――野寺君の代は、秋の大会で創部初の準優勝で関東大会にも出場するなど結果を残し、チームの新たな歴史を作りました。また春の大会でも準優勝して関東大会に出場し、甲子園の常連校のチームと戦いました。全国レベルの強豪校と戦ったことで、学んだことはありますか。

 場慣れの大切さは学びました。気持ちの問題もあるのですが、春の関東大会の常総学院戦でヒットが2本しか出なかったのは、大舞台を何度も経験している相手との差もあると思いますし、試合に挑む気持ちの面でも相手より劣っていたかなと思います。

――夏に向けては、試合に挑む気持ちの部分を高めていくのですね。

 夏は3年生にとって最後の試合なので、相手も必死にプレーしてくると思うので、それ以上に挑む気持ちを出して自分たちのパワーを出したいと思います。

――夏までに自身で強化したいところはどこですか。

 自分はバッティングを強化したいと思っています。秋の関東大会の専大松戸戦、春の関東大会の常総学院戦で、いくら県で打つことができても、全国レベルのチームには全然通用しないと分かったんです。全国レベルに追いつくためにも、ティーバッティングをしたり、試合の状況を想定したバッティング練習を一球一球大事にしながらやっています。

――群馬県内で、いい選手だなと思う選手はいますか。

 健大の半田(真太郎)選手です。バッティングでは広角に打てて、守備もいい。半田選手のプレーに憧れています。

――野寺君が明和県央で野球をしたいと思ったのはなぜ?

 中学校の1つ上の先輩に明和県央に行った人がいて、また一緒に野球をしたいと思って選びました。今でも一緒に遊びに行ったりしています。

――その先輩から、夏に向けて何かアドバイスをしてもらいましたか

 「もう最後なので、悔いの残らないように頑張れ!」と言ってもらいました。

――最後に、夏の目標が県予選優勝ですが、優勝することで恩返ししたい人は誰ですか。

 やっぱり親ですね。朝早く家を出て学校に行くのですが、毎日、朝早に起きて食事の準備をしてくれた親には感謝しかありません。

 コツコツとひたむきに努力する姿がチームにいい影響を与え、創部以来初の県大会準優勝を2回も成し遂げた代のキャプテンとして、誇りを持って次のステージへと進んで欲しいと願う。

<了>