甲子園に行って、継続的にもっといいチームを作りたい。それで樹徳に入りたいと思ってくれる子どもが増えれば、自分たちの誇りにもなる。
森 颯良(もり・そら)
3年・内野手・キャプテン
2005年7月30日生まれ、桐生ボーイズ(桐生市立川内中学校)出身、173㎝・72㎏、右投右打
――昨夏、群馬県で30年振りに優勝し、森君も甲子園に出場しました。甲子園でプレーしたことで、野球に取り組む姿勢や考え方など自分の中で変化したことはありますか。
野球をしていて、一番の大きな夢が甲子園だったので、昨夏、先輩方に連れて行ってもらったので、今度は自分の代で行きたいなという思いはより強くなりました。最高の経験をこの仲間たちをしたいなという気持ちは強いです。
――甲子園でプレーしたのは、森君とキャッチャーの亀田君の2人だけです。甲子園でプレーしたことをチームメイトにはどのように伝えているのですか。
「甲子園に行きたい」っていうのは、全員が言ってくれているんです。そして甲子園で1つ勝つことがチームの目標なので、「自分も本当に甲子園に行きたいから本気で頑張ろう」と選手間ミーティングでも言っています。
――このチームはコミュニケーションを大事にしているそうですね。
最近、コミュニケーション不足で、チームがバラバラな感じがしていたので、監督と自分が話して、コミュニケーションをもっと大事にすることを取り組んでいます。自分たちは過去のチームと比べると個々の力がないので、チームが団結して一丸となって戦えば、自ずと結果もついてくると思うんです。
――昨夏、準々決勝から決勝までを樹徳のベンチ横のカメラマン席で見ていたのですが、皆が野球を楽しんでプレーしているなというのがわかるほど、元気に伸び伸びとプレーしていましたね。いいチームだと思いました。
ありがとうございます。声が出るのが自分たちの一番の強みでもあります。勝とうという気持ちが強ければ、自然と声が出るのだと思います。
――去年、先輩たちと一緒に試合に出ていて、その先輩たちから引き継いだものは何ですか。
やはり、声の部分と明るさの部分、勢いの部分です。先輩たちを見ていて、そういうところが良い部分であり、強さの要因でもあったので、先輩たちのその強さを引き継いでいければ、昨年と同じように勝ち進んで最後には笑えるんじゃないのかなと思います。
――今春は、準々決勝で商大附に0-3で敗れましたが、春に見えた課題はどんなところでしたか。
攻撃面での後押しができなくて、ピッチャー陣も頑張ってくれたんですけど、野手陣の勝負強さのところや、つなぐことがまったくできていなくて、バッティングは一番の課題でした。バッティングを良くするために、自分たちが考えながら、指導者の方々にアドバイスをもらいながら、練習に取り組んでいます。
春の商大附戦では、相手の星野空投手の速い真っすぐにやられていたので、速い真っすぐに対応できるようにしています。星野投手みたいな強い、速いピッチャーに対応するには、速いボールに慣れておかなければいけないし、それに伴って速いスウィングも大事なんで、素振りや重たいボールを打ったり、あとは体づくりといった基本的なところをやっています。あとは素振りの時のからイメージを大切にしています。単にバットを振っていても意味がないので、速いボールを意識してみたり、逆に遅いボールを想定して振ってみたりと状況を考えながらバットを振るようにしています。
――意識しながら練習に取り組んでいけるのは、甲子園に出た影響もありますか。
それもあると思います。監督からの指導で「生活から考えよう」というのも生きているのだと思います。それがコミュニケーションにもつながっていて、一人が考えたことを周りに伝えて、その考えを他の人も実践すれば、チーム全体の考えになる。みんなで情報を共有して実行することを心がけています。そうすると自然にチーム力が上がってきているのが実感できますし、練習の雰囲気もいい方向にガラリと変わっていきます。選手同士の仲もより一層良くなり、甲子園を目指そうという気持ちが全員から感じられるようになりました。
皆でチームを盛り上げられることが自分たちの強さだと思うので、そこはこの夏もやっていきたいです。夏はどうしても緊張しますし、一人では相手の力にやられてしまいます。仲間を感じられると気持ちも楽になるし、「打てなくても、後続がカバーするから」と言ってもらえるだけで余計な力が抜けるんです。
そういうことを先輩たちが背中で見せてくれたので、自分たちは良いところを吸収して戦うだけです。
――ところで、去夏、甲子園で印象に残っていることはありますか。
相当緊張しました。ずっと憧れていた球場でしたし、コロナの影響で大会が開催される前の練習もなくて、開会式もなくて、しかも大会初日の試合だったので、余計に緊張しました。
――キャプテンとして、このチームをまとめる上で、何かしていることはありますか。
何でも思ったことは言うようにしています。「これは違う」っていうことも言いますし、「チームをどうまとめていいか分からない」と言ったこともあります。全部、自分の素を出すようにしています。
――「チームをどうまとめていいか分からない」と言った時、チームメイトからはどんな言葉が返ってきましたか。
「お前はちゃんとやっているから、俺らももうちょっとやるから」と言ってくれました。
――自分をさらけ出すことで、仲間も自分たちをさらけ出してくれるようになりますからね。でも、なかなかできることじゃないと思います。
去年のキャプテンだった阿久津佑太さんが本当にいい人で、理想のキャプテン像なんです。自分でちゃんとやりながら、チームもまとめる。阿久津さんに近づかないといけないなと思っています。
――昨夏を見ていて、チームが盛り上がって、勢いに乗っていると、こんなにも力を発揮するんだなと思いました。今夏は二連覇がかかっていますが、プレッシャーは感じていますか。
プレッシャーはないです。皆がやってくれるので。
――このチームは、中学の時にボーイズで優勝を経験している選手が多いのも、勝ち方を知っているという面で心強いのではないですか。
自分は桐生ボーイズで中3の時は準優勝だったんですが、その時に優勝した館林ボーイズもチームに何人かいるんです。亀田凛太郎も柳仁成も須永人和も館林ボーイズです。本当に勢いに乗れば強いと思います。いい意味で皆“馬鹿”なので、勢いがつけば強いです。
――夏の大会で、対戦したい相手はどこですか。
健大です。春の関東大会で優勝しているので、健大が注目されているので、健大に勝って甲子園に行きたいですね。
――夏のチームの目標は甲子園出場ですが、個人的に掲げている目標はありますか。
個人的にも甲子園出場です。自分の結果は、チームが勝てればどうでもいいので、どうにかして夏を勝っていきたいです。
去年、先輩たちに(こうしたら甲子園に行けるんだという)背中を見せてもらったので、自分たちも後輩に見せて継続していいチームが作れれば、樹徳で野球がしたという子どもたちが増えるし、自分たちが誇れる部分にもなると思うので、やっぱり甲子園に行って、もっといいチームを作りたいです。
<了>