群馬の高校野2023夏 桐生第一高校編④ 石塚快士

ほぼすべての時間を自分たちに費やしてくれる指導者のためにも、結果で恩返ししたい。

石塚快士(いしづか・かいし)
3年・内野手・キャプテン
2025年6月2日生まれ、高崎ボーイズ(伊勢崎市立境南中学校)出身、172㎝・70㎏、右投右打

――中学時代は高崎ボーイズでプレーしていましたが、なぜ桐生第一で野球をしようと思ったのですか。

 中学2年の時に、高崎ボーイズ出身の健大の下慎之介選手(ヤクルト)と戸丸秦吾選手が出場する(2019年10月26日上毛新聞敷島球場で開催された)秋の関東大会の試合を応援しに行った時に、2試合目が桐生第一と山梨学院の対戦だったんです。桐生第一の先輩たちの試合を見て、自分もここで野球をやりたいなと思ったんです。自分は結構、声が出る方なので、桐生第一のシートノックを見ていたら、声が出て元気な選手が多くて自分に合っているなと思ったのと、桐生第一のプレースタイルがカッコよくて憧れました。

――石塚君のプレーの特徴を教えてください。

 自分の良さは元気があるところで、勝負強い選手だと思っています。チャンスの場面で返せるバッター。長打ではなく、ライナーや逆方向を中心としたヒットが打てる選手だと思います。守備の面ではまずは声を出してチームメイトを勇気づけたりできるのと、エラーが少ない選手だと思っています。

――プロ野球選手で参考にしたりしている選手はいますか。

 ソフトバンクでプレーしていて今年巨人に移籍した松田宣浩選手です。元気のあるサードの選手で、周りにいい影響を与えられるようなところを参考にしています。

――松田選手はソフトバンク時代に「熱男」と呼ばれるほど、チームメイトに力を与える選手でした。石塚君も松田選手のようにチームに力を与える存在になろうと思ったのですね。ところで、春の大会では、準々決勝の健大戦で、前半は2-0でリードしながら6回に4失点し、悔しい逆転負けを経験しましたが、この悔しさはチームにどんな影響を与えていますか。

 健大戦の敗因をしっかりチーム内で共有していて、その試合は前半は勝っていたんですけど、6回に4失点した後に小玉湧斗投手の投球に手も足も出ずに追加点を奪えなかったんです。今は、小玉投手の速い真っすぐに対応できるように練習しているところです。春の負けの悔しさは練習の取り組み方にもいい影響を与えていると思います。

――チームの特徴として、前半までは良い形で試合を進めていながら、中盤以降に崩れてしまうという傾向があります。この課題を夏までにどのように克服していきたいと思っていますか。

 春の健大戦だけじゃなく、夏に向けての練習試合でも前半はいいゲームができているんですけど、後半になかだるみしてしまって、後半に相手にやられて取り返せないのが課題になっています。
6回にピッチャー陣が点を取られることが多いのと、バッティングで淡白な攻撃をしてしまうので、6回の前のグラウンド整備の時に、そこでの行動をチームとして考えたり、ピッチャーの狙い球を変えてみたり、攻撃でバットを短く持ってみたり、打席に立つ位置を微妙に変えてみたりといろいろ工夫しています。またピッチャーも、グラウンド整備の時にもう一度ブルペンでピッチングをしようと言っています。

――夏の大会に向け、全国レベルの強豪校と練習試合を重ねています。そこでも春の健大戦のように中盤から崩れることが多いのはメンタル面の影響もあるのではないですか。

 メンタルのブレがあって、いい試合ができる日やできない日もあるんです。あとはチャンスに弱いというのが今のチームの課題だと思っていて、チャンスで回ってくるバッターにヒットやタイムリーが出ないんです。今、そこの課題に取り組んでいる最中で、精神面を鍛えることにも取り組んでいます。自分でも、きつい時でも周りに声をかけたり、きつい姿を周りに見せるんじゃなくて、きついことから逃げないで自分の弱い部分と戦っていき、心のブレをなくすようにしています。

――キャプテンとして、誰よりも声を出してチームを引っ張っていますが、チームへの声掛けで意識していることはありますか。

 きつい時にはきついなりの行動をしてしまうのがウチのチームのダメなところで、そこで声をかけられない選手もいるんです。まずは試合に出ている選手たちを引っ張っていこうと思っているので、自分が彼らに声をかけていくことで、周りの選手たちにも声掛けをしてもらえるように取り組んでいます。

――声が枯れているけど、いつも大きな声を出しているから?

 (笑)。そうですね。

――石塚君にとって、このチームはどんな特徴があると思いますか。

 皆、仲がいいのがこのチームの特徴です。ウチのチームにはホームランを量産するバッターがいるわけでもなく、ピッチャーが抑えて勝つようなチームでもなく、組織の力で戦うチームだと思うので、チーム一丸となって戦えることが良さだと思います。

――夏の大会の目標を教えてください。

 チームとしては甲子園出場です。個人としては、これまで支えてくださった監督をはじめ指導者の方々に恩返しできるような野球をしたいと思っています。ほとんどすべての時間を自分たちのために費やしてくださっているのに、自分たちはなかなか結果で返すことができないでいます。まずは結果を出したいです。

――進路は決まっているのですか。

 大学で野球を続ける予定です。やるからには高みを目指して頑張ります。

<了>