群馬クレインサンダーズ
菅原 暉
3月に5連敗をしたサンダーズ。連敗脱出の原動力となった一つに菅原暉選手の活躍があった。現在はセカンドガードとして試合に出る菅原選手は、「練習からナリさん(並里成選手)とケイさん(五十嵐圭選手)と競い合ってきたので、常にファーストガードで出るという気持ちはあります」と、プロとして成長の歩みを加速させている。2月27日、太田市内の撮影スタジオで、新アリーナで流す映像の撮影の合間に取材に応じてくれた菅原選手のインタビューを紹介しよう。
文・写真/星野志保(EIKAN GUNMA編集部)
――今季はプレータイムを伸ばしています。10月8日の信州ブレイブウォリアーズ戦では、29分13秒のプレータイムで、これはキャリアハイの記録です。また3Pシュートも2月12日の広島ドラゴンフライズ戦で3本決め、こちらもキャリアハイとなっています。今季は、選手としての手応えは感じていますか。
いや、全然満足していないですし、まだまだプレータイムやプレーの質が安定しなかったりと難しい状況にありますが、その中でもチームの勝利に貢献したいという思いがあります。自分もいいプレーをして、それでチームが勝利できることは嬉しいですが、そのいいプレーを続けることがなかなかできていないので満足していません。まずはチームから信頼を得て試合で使ってもらえるために、毎日の練習から頑張ろうと思います。
――今季の前半戦は、スタートから出る試合が多くありました。
そこは自信になりましたが、やっぱりそれを続けないと意味がありません。もっとゲームコントロールの部分を磨いて、ガードとしてチーム全体をもっとコントロールしたり、積極的に声をかけたりとリーダーシップをとらなければなりません。それはプレーだけじゃなくて、選手への声かけの面でももっとやっていかなければならないと感じています。
――今季は、選手一人ひとりの役割が明確になっていると聞いています。その点、ガードとしてはチームをコントロールしやすいですか。
そうですね、決まりごとがあるのでやりやすいです。ただ求められることのレベルも高いので、その期待に応えなければならないと思っています。ゲームをコントロールするのは簡単ではありません。
――水野宏太HC(ヘッドコーチ)やカイル・ベイリーAC(アシスタントコーチ)から求められていることとは何でしょう。
今はセカンドチーム(ベンチからスタートする選手たち)で試合に出ているのですが、僕たちがコートに出ている時間帯にパフォーマンスを上げていけば、ファーストチーム(スタートから出る選手たち)にも生きてくると思うんです。
「セカンドチームだから」という意識にならず、僕は常にファーストチームで試合に出ている同じポジションのナリさん(並里成)を超えるつもりでやっています。
――同じチームに並里選手が同じチームにいるのは、菅原選手にとってどんな影響がありますか。
本当に自分にとっては良いことばかりです。バスケットをしているときだけじゃなく、私生活でもよくナリさんと話をするのですが、やっぱり「ナリさんすごいな」って思います。ナリさんを見ていると、自分自身も成長しないといけないと思いますし、何よりナリさんを超えていかなければいけないと思わせてくれるます。
――並里選手のどんなところがすごいと?
全部すごいんですけど、なかでもバスケット全体のスキルが高い。これまで自分が一緒にやってきた選手の中でもトップクラスのスキルを持っているので、自分もナリさんみたいになりたいなと思います。でも、ナリさんと同じことをやるんじゃなくて、自分にもいいところがたくさんあると思うので、足りない部分をナリさんから吸収して成長したいと思います。もちろんナリさんだけじゃなくて、ケイさん(五十嵐圭)からも学びたいと思っています。この2人からいいところを吸収して、自分の強みにしていきたいですね。
――具体的に、五十嵐選手、並里選手から学びたいところはどこですか。
ケイさんだったら、シュートまで持って行くところ。ナリさんだったらアシストの部分とピック&ロールの使い方です。意識して2人のプレーを見ています。ナリさんのアシストのところは、広い視野で状況を見ているのでなかなか真似はできないですが、ナリさんの見ているところや目の使い方は参考になります。
――五十嵐選手や並里選手とは違った強みが菅原選手にはありますね。
ディフェンスの部分でフィジカルに守ることと、あとは積極的に得点を取りに行くことをやっていこうと思っています。元々パスファースト(パスで味方を生かすプレーを優先)の選手なんですけど、なるべく得点に絡んでいくようにしています。
――今季は、昨季よりもバスケに向き合う真剣さがさらに感じられます。オフシーズンにアメリカに行って、一流選手のバスケに向き合う姿勢や練習量の多さを目の当たりにした影響はありますか。
それもあると思いますし、昨季よりもプロ選手としての自覚が芽生えたのもあると思います。いろんな経験をして、自分自身もっとやれるという確信があるので、簡単ではないですが、時間をかけながらもっともっといい選手になりたいです。
――2月に高崎市で開催されたFIBAワールドカップ2023アジア地区予選で、金近廉選手(東海大2年→4月に大学を中退し千葉ジェッツに加入)ら若手選手が活躍しました。
同世代の活躍をテレビで見ているだけで本当に刺激になるし、自分自身もあの場所に立ちたいと思いました。簡単ではないですが、今は自分のやるべきことをやるだけです。
――今の日本代表では、3Pシュートが求められていますね。
そうですね。あとはディフェンスのところ。自分のポジションだと河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)や富樫勇樹さん(千葉ジェッツ)がいるので、この2人とは違う強みを見つけていかなければいけないと思っています。
――今季ここ(2月27日)までで、一番印象に残っている試合はありますか。
最近の試合で言うと、2月11、12日の広島ドラゴンフライズ戦です。1日目は(87-97で)負けてしまったんですが、2日目はチーム全員がいい仕事をしてチーム一丸となって戦って勝った試合(99-91)だからです。
――試合を重ねることに、チームとしての成熟度が上がっているように感じますが。
僕もそう思います。毎回、ミーティングもして、チームや個人でやるべきことをみんながわかっているので、後半戦はそれをしっかり出せれば、いい結果もついてくるんじゃないかと思います。
――CSに進出するために、菅原選手にとって必要なことは何でしょう。
ナリさんとケイさんがいなくても、チームを勝たせられるような選手にならないといけないと思っています。
――いよいよ4月15日に新アリーナでプレーしますね。
とてもいい会場だと聞いているので、そこでプレーできるのは本当に幸せです。普段と変わらず、自分のやるべきことをしたいですね。それに、サンダーズに来た理由の一つに新アリーナがあったので、今から楽しみです。
――新アリーナではこれまでよりも多くの観客の前でプレーします。試合を見に来てくれたお客さんにどんなところを見て欲しいですか。
強いディフェンスをしてフィジカルに守るところや、どんどん3Pシュートを打っているところを見て欲しいと思います。
<了>
■Profile
菅原 暉(すがわら・てる)
1998年5月27日生まれ、岩手県出身。筑波大学3年次に横浜ビー・コルセアーズに、4年次には群馬クレインサンダーズに特別指定選手として加入。大学3年でインカレ優勝、大学4年では主将としてインカレ準優勝を経験。U-18、22日本代表候補。4月9日現在、平均得点3.9点、フィールドゴール成功率34.0%、3ポイントシュート成功率28.4%、平均アシスト数2.6本の成績。ポジションはPG、背番号14、183㎝・83㎏。3月26日の秋田ノーザンハピネッツ戦からプレータイムをコンスタントに伸ばしている。