強化を図る群馬クレインサンダーズU18。プロへの道を切り開く

日々の練習に懸命に取り組むU18の選手たち

今年4月に元日本代表の山田大治氏をU18のヘッドコーチ(以下、HC)に迎えた群馬クレインサンダーズは、下部組織の強化にも本格的に取り組もうとしている。
バスケットボール界において、プロになるためには、強豪高校から強豪大学へ進学してからプロの道へというのが王道だが、今後はBリーグ各クラブの下部組織もプロへの道の一つになりそうだ。ここでは群馬クレインサンダーズU18の魅力を探った。

山田大治HCが細かく技術を教えている

 「強豪高校じゃなくても、プロバスケットボール選手になりたい」そんな願いを叶えてくれるのが、Bリーグクラブの下部組織だ。9月22日にレバンガ北海道で同クラブのU18に所属する内藤耀悠選手(高校2年生)がユース育成特別枠に登録され、トップリーグの試合に出場できる機会が与えられた。
 このユース育成特別枠登録は、2022-23シーズンからBリーグで新設されたばかりの制度で、自クラブのU15、U18に所属する選手を、リーグ登録上限12人の選手枠とは別に、2人までリーグ登録できるというもの。Bリーグの試合に出る力があると評価されれば、中学生でも高校生でもBリーグのコートに立つことが可能になる。

 群馬クレインサンダーズU18のキャプテン・平安名賢(へいあんな・けん/東京農業大学第二高等学校3年)もプロ選手を目指す一人。東京農業大学第二高等学校と言えば、群馬県内の私立高校でトップレベルの学力を誇り、スポーツでも野球や陸上など国内外で活躍するスポーツ選手を輩出する文武両道の学校である。野球でいえば、現在、福岡ソフトバンクホークスで活躍する周東佑京選手が有名だが、県内のバスケットボールでは、県内強豪の前橋育英や桐生第一が全国大会出場の常連で頭一つ抜きん出ている状況だ。
 平安名が群馬クレインサンダーズU18に入った当初はまだユース育成特別登録の制度はなかったものの、「プロバスケットボール選手になりたい」という夢を叶えるために群馬クレインサンダーズU18でバスケットボールをすることを選んだ。

 今年4月からU18チームを率いるのは、トヨタ自動車アルバルク(現・アルバルク東京)、パナソニックトライアンズ、レラカムイ北海道(現・レバンガ北海道)、リンク栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)、広島ドラゴンフライズ、富山グラウジーズでプレーした山田大治HCである。トヨタ自動車アルバルク時代に、スーパーリーグ優勝(2005-06)、オールジャパン(天皇杯/2007年)優勝を経験。日本代表としてもヤングメン世界選手権(2001)、アジア選手権(2005)、世界選手権(2006)、アジア大会(2010)で活躍するなど、日本を代表する選手の一人だった。また日本大学4年次にはインカレで優勝し、MVP、得点王、リバウンド王を獲得。日本のトップレベルで長年活躍しただけでなく、勝者のメンタルも持ち合わせる山田氏のHC就任は、下部組織のレベルアップに欠かせない。

 群馬クレインサンダーズU18では、日本トップレベルの経験を持つ山田HCの指導を受け、「日ごろから真剣に練習をしていないとダメ。チャンスを生かすも殺すも自分次第」と、選手としての心構えを説く。
 これまで、関東大学バスケットボールリーグに所属する大学との練習試合やBリーグU18リージョナルリーグ、BリーグU18チャンピオンシップを経験してきた平安名も「今まで経験したことのないレベルと試合をすることで、自分の通用する部分、しない部分がよくわかります」と語り、自信の成長を実感している。

2022年6月25日に桐生ガススポーツセンター(桐生市民体育館)で行われたBリーグU18リージョナルリーグで、越谷アルファーズU18を相手に躍動した平安名賢(写真上)と市川来希(写真下)

 群馬クレインサンダーズは、2022-23シーズン水野宏太HCを迎え、強豪クラブの持つ独自の文化を築こうとしている。8月23日に東京・銀座で行われた入団会見で水野HCは、「日々向上するために、自分たち一人ひとりがどういうことをやっていくのかを考えて、練習だけでなく試合に向けてもしっかり準備していく文化、コミュニケーションもしっかり取っていく文化を作っていく」と語っていたが、その文化はU18にもしっかり受け継がれていくだろう。

<了>

■U18の情報は、群馬クレインサンダーズ公式HPをご覧ください。