2021-22シーズン プレシーズンマッチ
2021年9月5日(日)15:05ティップオフ
ユメックスアリーナ
群馬クレインサンダーズ 80-76 信州ブレイブウォリアーズ
塩尻市のユメックスアリーナで行われた信州ブレイブウォリアーズとのプレシーズンマッチ。群馬クレインサンダーズにとって、8月16日に新チームが始動して初めての対外試合となった。
信州とは2018-19シーズンのプレーオフファイナルで、互いにB1ライセンスがない中でB2優勝をかけて戦った相手であり、信州は2019-20シーズンにB1昇格を果たしたチームだ。今シーズンは新たに3選手を加えたが、勝久マイケルヘッドコーチ(以下、HC)をはじめ多くの主力が残り、ある程度チームとして完成している。
一方のサンダーズは、トーマス・ウィスマンHC、輪島射矢アシスタントコーチら、コーチ陣すべて入れ替わったほか、五十嵐圭、アキ・チェンバース、野本健吾、オンドレイ・バルヴィンという主力となるうる4選手を獲得するなど、陣容もB1仕様となった。この日の試合では、腰のケガで笠井康平を、チェコへの一時帰国でオンドレイ・バルヴィンを欠く中でのゲームとなったが、スターティング5はマイケル・パーカー、トレイ・ジョーンズ、五十嵐、チェンバース、ジャスティン・キーナンというB1経験の豊富な選手で臨んだ。
「家族ぐるみで仲が良く、コートに立った時も互いのことを知っているので、すごくやりやすい」とパーカーが言うように、パーカー、ジョーンズ、チェンバース、キーナンの抜群のコンビネーションに、リーグ最年長の五十嵐が司令塔としての能力の高さを発揮。このゲームの最初の得点は、五十嵐からのパスを受けたパーカーのレイアップシュートだった。その後も、ジョーンズからパーカーのコンビで4点目を入れると、キーナン、五十嵐の高速パス回しからパーカーが3Pシュートを決めたほか、ジョーンズがレイアップシュートで9点目を奪い、試合開始から約2分半で9-1と信州を突き放した。その後も順調に得点を重ね、一時は15-5と10点差が開いたものの、五十嵐から菅原暉に、チェンバースから山崎稜にメンバーを変えたところで信州に連続得点を許し、18-19と1点ビハインドで1Qを終えた。
2Qのスタートは、ジョーンズ、菅原、チェンバース、上江田勇樹、山崎の5人。開始直後にチェンバースの2Pシュートで逆転に成功すると、ジョーンズ、チェンバース、キーナンの得点で一気に26-19と点差を広げた。残り7分を切ったところで再び五十嵐を投入。一時は30-21と再び9点差に突き放したものの、岡田侑大、前田怜緒ら信州のシューター陣に3Pシュートを決められ、40-36と4点差まで詰められて前半を終えた。
パーカー、ジョーンズ、菅原、チェンバース、キーナンで臨んだ3Q。さらに攻撃のギアを上げたサンダーズは、持ち味の速攻がさく裂。キーナンからパスを受けた菅原がコーナーから3Pシュートを決めて存在感を発揮した。このクォーターでジョーンズが10点、パーカー7点、キーナン5点と外国籍選手と帰化選手が本領を発揮し、彼らの得点力の高さを見せつけたが、岡田に連続3Pを許すなど相手の得点源を抑えきれず、67-61で最終クォーターを迎えた。
4Qのラインナップは、ジョーンズ、五十嵐、野本、チェンバース、キーナンの5人。五十嵐とキーナンのピックアンドロールからの得点をはじめ、五十嵐のパスからジョーンズが3Pシュートを決めるなど、五十嵐が司令塔として抜群のコントロールを見せた。
しかし、信州のジョシュ・ホーキンソンと岡田、ヤン・ジェンミンの3Pで、一気に点差が縮まり、残り5分20秒のところで熊谷航のレイアップシュートが決まり74-74の同点に追いつかれた。その後、ジョーンズ、パーカー、キーナンのコンビネーションで2Pシュートを決め、76-74でオフィシャルタイムを迎えると、ゲーム再開時には、スターティング5のパーカー、ジョーンズ、五十嵐、チェンバース、キーナンで臨み、チェンバースのスリースローと、キーナンの2Pシュートで80-75と再び信州との点差を広げた。最後にフリースロー1本を信州に決められたものの、残り15秒8でサンダーズがボールをキープし、80-76で初の対外試合を勝利で終えた。
試合後、ウィスマンHCは、「最初にペースをキープできたのはよかったが、オフェンスに関してはそれを40分間維持できるようにすること。ディフェンスに関してはピックアンドロールの守り方でうまくいかないところがあったのでそこを修正していきたい」とチームとしての課題を挙げた。また、4Qで同点にされた要因について、「相手のプレーが素晴らしかった。信州の方が3Pシュートの精度がかなり高かったので、そういう部分で追いつかれた」と相手のシューター陣を称えたが、3Pシュートに対する対策については、「やることはたくさんある」と開幕へ向けて修正する予定。
また、初めての対外試合の出来についてウィスマンHCは、「プレシーズンの1試合目としては問題ない。群馬で練習しているときは天候の状況で床が滑ったり、コロナの影響で体育館を使える時間が限られたりしてさまざまな問題があったが、その中でチーム一丸となって自分たちがやるべきことができたので、スタートとしては非常にいいと思う」と開幕に向け、手ごたえを口にした。
司令塔として勝利に貢献した五十嵐は、チームの連携面について、「B1経験のある選手が多いが、連携面で“行くとき”“行かないとき”、この時間帯にはこういう選手を使うという判断はPG(ポイントガード)としての僕の仕事だと思っているので、プレシーズンの中で(選手たちの特徴を)見極めながらやっていきたい」と言い、開幕までにチームの連携をさらに深めていくという。
試合で浮き彫りになった課題についても五十嵐は、「得点が止まったときにどういうオフェンスの組み立てをするのか。あとは、リバウンドを1回で取り切れず、逆に相手にリバウンドを取られてセカンドチャンス、サードチャンスから3Pシュートを決められたりしていたので、リバウンドを1回で取り切って、いいオフェンスに繋げられれば、今日の出だしのような試合ができるのかな」と語った。
さらにパスが動かない時間があったことについても「日本人選手に、外国籍選手、帰化選手に頼ってしまう部分があったので、そこはまだまだコミュニケーションが足りないところ。頼るのではなく自分がゲームをクリエイトして得点に絡んだりシュートまで持って行くといったように、日本人選手がどんどんトライしていくことが必要」と、ベテランとして日本人選手たちに奮起を促した。そして最後に、「今の状況で満足せず、B1で戦うわけだからもっとレベルを上げていかなければいけない。このままの状況ではB1の上位チームとは戦っていけないと思うし、もっともっとチーム全体として切磋琢磨しながらレベルアップをしていく必要がある」と付け加えた。リーグ最年長選手としてB1をよく知る五十嵐だからこそ、チームの現在地がわかるのだろう。
今シーズンのキャプテンは、笠井とパーカーの2人が務める。Wキャプテンになった経緯をパーカーは、「最初、誰がキャプテンをやるのかわからなくて、康平じゃないかという雰囲気が漂っていた。それで康平と話して『お前がやるなら、俺もやるよ』と話をして決まった」と明かした。
では、キャプテンとしてどうチームを引っ張っていくのだろうか。「オフィシャルでキャプテンと公表されたが、(昨シーズンから)キャプテンじゃないときもチームをリードしてきたので、自分の中では変わることなく、これからもしっかりチームを引っ張っていきたい」とパーカーは意気込んだ。
10月1日(金)にアウェーの宇都宮ブレックス戦で2021-22シーズンの開幕を迎えるサンダーズ。10月9日(土)、10日(日)のホーム開幕戦のチケットは、サンダーズ史上最速で完売した。それだけブースターやファンの期待値が高いということだ。このプレシーズンマッチを見て、今シーズンのサンダーズの活躍を楽しみにしている人たちも多いだろう。スローガンに掲げた「COME ON! “前人未踏”第2章、始まる」のように、初挑戦のB1の舞台でも前人未踏の活躍を見せてくれるはずだ。
<了>