3月24日(水)に新型コロナウイルス感染症陽性反応者の濃厚接触者の判定を受けたチームは、2週間の自宅待機を強いられ、4月6日(火)にようやく練習を再開。そして臨んだ週末の福島ファイヤーボンズ戦で東地区優勝を手にした。ここでは、地区優勝を決めた11日の試合を振り返った。
文/星野志保 写真/群馬クレインサンダーズ
4月11日(日)の福島ファイヤーボンズ戦で3度目の地区優勝を果たした群馬クレインサンダーズ。B2参入から5シーズン目で、ついにB2リーグ首位でプレーオフに臨む。
今季は圧倒的な戦力で勝ち星を積み重ねてきたチームにピンチが訪れた。3月20日(土)、21日(日)の越谷アルファーズ戦後の23日(火)に、越谷の選手に新型コロナウイルス感染症陽性判定が出たため、サンダーズの選手たちも濃厚接触者となり、3月24日(水)の高崎アリーナで行われる予定だった青森ワッツ戦が試合開始約1時間半前に急遽中止となった。サンダーズの選手にも一人、陽性反応が出て、チームは2週間の自宅待機を余儀なくされた。そのため、3月27日(土)、28日(日)のアースフレンズ東京Z戦(ヤマト市民体育館前橋)、31日の仙台89ERS戦(ゼビオアリーナ仙台)、4月3日(土)、4日(日)の茨城ロボッツ戦(ヤマト市民体育館前橋)の6試合が中止となった。
2週間の自宅待機が明け、練習が再開できたのが4月6日(火)。ほとんど練習できない中で臨んだ4月10日(土)、11日(日)の福島戦で、東地区優勝をかけて戦った。
10日(土)の試合では、チームの要であるトレイ・ジョーンズが出場できなかったものの、佐藤文哉の3Pシュートが4本中4本決まるなど、11人中6人が2桁得点を挙げる活躍。2週間、練習ができなかったことを感じさせないプレーで福島を91-81で下したものの、同時刻に開催されていた茨城が山形に勝ったため、サンダーズの優勝は翌日に持ち越された。
11日(日)の試合では、トレイ・ジョーンズのほかに、前日の試合中に負傷退場した司令塔の小淵雅をも欠く事態となったが、この福島との連戦で初めてスタメン起用されたたジャスティン・キーナンや、ブロックショットやスティールといったガッツあふれるプレーでチームを鼓舞し続けたマイケル・パーカーが存在感を示した。
だが、前半は苦しい展開を強いられた。第1Qから福島に連続得点を許し、放ったシュートもことごとく外れ、リバウンドも拾えない苦しい状況に陥り、一時は0-12と点差が開いた。ようやく点が入ったのは、残り6分17秒になってから。山崎稜の3Pシュートだった。福島は、サンダーズ創設時のメンバーだった友利健哉や、2018-19シーズンに在籍した喜久山貴一といった元サンダーズの選手たちが意地を見せ、第2Q終了時点で38-30と、福島リードで前半を終えた。
そんなチームに活力を与えたのが、第3Q残り6分41秒でコートに入った野﨑零也だった。残り6分19秒にクェリのシュートをアシストしたのを皮切りに、果敢にドライブでペイントエリアに侵入しては相手のファイルを誘い、フリースローを獲得。じりじりと点差を詰めていった。残り2分50秒に野﨑のレイアップシュートで47-46と逆転に成功。第4Qは、本来のチームの粘り強い守備や積極的な攻撃が見られるようになり、76-60と点差をつけての逆転勝利で東地区優勝を決めた。
この福島戦の勝利で、プレーオフ出場順位1位も確定。5月8日(土)から始まるプレーオフは全試合ホームで開催できることになった。だが選手たちは、プレーオフへ向け完全に気持ちをシフトすることはできない。なぜなら、レギュラーシーズンを5敗以内で終えるという前人未踏の目標を立てているからだ。4月12日現在で残り7試合(3月28日の東京Z戦、4月2、3日の茨城戦の3試合は消滅)を残しており、前人未踏のチャレンジはまだまだ続く。B1昇格、B2優勝、前人未踏の5敗以内達成したとき、B1の舞台で戦えるだけの実力と自信を選手たちは身につけるだろう。
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