10月24日のドラフト会議で、北海道日本ハムファイターズから4位指名を受けた前橋商業の清水大暉投手。高校2年の夏に全国高校野球全国大会群馬県大会で、前橋商業を2010年以来の甲子園出場に導く活躍を見せた。
「伸びしろは計り知れない」と住吉信篤監督が口にするほど、今後の成長とプロでの活躍が期待される清水。5年前にドラフト4位で巨人に入団した井上温人投手の跡を追う。ここでは、ドラフト指名後に同校で行われた記者会見を一部編集して紹介する。
編集・撮影/星野志保(EIKAN GUNMA編集部)
田島正徳校長 本日はこんなにたくさんの方にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。清水大暉が日本ハムファイターズにご指名いただきました。ご本人、ご両親また学校を挙げて、嬉しい気持ちでいっぱいになります。本人の「新しいことに挑戦」という言葉がすごく印象に残っています。これからも新しいことに挑戦しながら、頑張ってくれると思っております。本日はよろしくお願いいたします。
住吉信篤監督 本日は清水の指名に際しましてお集まりいただきありがとうございます。おかげさまで指名をいただき、(プロへの)スタートラインに立ったかなと思います。引き続き末永くご声援をよろしくお願いします。
清水大暉 こんばんは。本日はお集まりいただきありがとうございます。待ち遠しい気持ちで(ドラフトを)ずっと待っていたんですが、日本ハムに4位指名をしていただいて、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。今の自分の能力は、1位や2位で入団したピッチャーよりも低いですし、入団してすぐに活躍できるような選手じゃないと思っています。地道にコツコツ、今まで通り努力して、いずれかは球界を代表するような粘り勝てるピッチャーになっていきたいです。
――指名を受けた瞬間の気持ち。
清水投手 指名を受けた時はほっとしましたし、その反面、「ここからスタートラインだな」っていうのは思いました。
――指名を待っていた時の気持ちは? 他の選手の名前が呼ばれているとき1回1回うなずいて噛み締めているような姿がすごく印象的だったが。
清水投手 選ばれればいいなと思っていましたし、自分より実績のある投手だったり、いい投手が選ばれていたので、当然だなと思いながら(ドラフト会議の様子を)見ていました。
――名前を呼ばれた瞬間、周りの様子を見てどんな気持ちだったか。
清水投手 まず、高橋一輝は幼稚園からずっと一緒で、一番喜んでくれたのが嬉しかったです。周りのみんなもすごい喜んでくれましたし、自分だけで成り立っているんじゃないんだなって感じましたので、それも含めていい経験でした。
――周りの人たちの思いを受けて、これからどのように頑張っていきたいか。
清水投手 高校でも皆の支えがあって野球ができましたし、これからもこういった応援を力にして、早く一軍で投げるように頑張っていきたいと思います。
――日本ハムの印象。
清水投手 新庄(剛志)監督になってから明るいイメージで、球団の雰囲気がいいというのが印象です。
――日本ハムには前橋工業出身の星野ひので選手(桐生市出身、2023年ドラフト5位指名)がいる。
清水投手 (星野選手は)前橋工業高校出身ということで、同じ前橋地区で1つ上の先輩でもありますし、いい関係を築いていけたらいいなと思っています。
――日本ハムで印象に残っている、もしくは参考にしている選手は?
清水 日本ハムで参考にしているのは伊藤大海投手です。伸びのあるまっすぐと制球力を参考にさせていただいています。
――エスコンフィールド北海道でプレーすることについて。
清水投手 最近、新しくできて、すごく人気のある球場だと思います。訪れてみたいという方も多いと聞いていますので、自分もそういった球場で、一軍で投げられるように頑張りたいです。
――プロでやっていく上でのアピールポイント、ストロングポイント。
清水投手 身長の高いところが一番のストロングポイントなので、長身を生かした角度のあるストレートで、打者を翻弄していきたいです。
――憧れている選手もしくは目標にしている選手。
清水投手 伊藤大海投手のような真っすぐを投げたいというのもそうですし、日本ハムからメジャーリーグに行った大谷翔平選手やダルビッシュ有投手のような選手になりたいと思います。
――対戦してみたい打者。
清水投手 ソフトバンクの柳田悠岐選手と対戦してみたいです。
――ソフトバンク打線は強力だが。
清水投手 今の実力だとソフトバンク打線を抑えるのは難しいですけど、いつか対戦してみたいなと思っています。
――(住吉監督への質問)清水投手の強みは?
住吉監督 恵まれた体を使って、柔らかいフォームで質の良いボールを投げるピッチャーですので、伸びしろは計り知れないと思っています。今後の努力次第で活躍の場が広がるのかなと思っています。
――(住吉監督への質問)どんな選手になってほしいか。
住吉監督 やっぱりチームから信頼されて、大事な場面で任されるようなピッチャーになってもらいたいです。最終的には本人も言った通り、球界代表するようなピッチャーになってくれることを期待しています。
――北海道でしたいこと。
清水投手 父が北海道の大学を出ていることもあって、自分も北海道に行ってみたい気持ちがありました。趣味が釣りなので、北海道ではいろんなジャンルの釣りをしてみたいと思っています。
――続投が決まった新庄監督のイメージ。
清水投手 明るくてスター性のあふれるような人柄の監督だと思っています。
――チームメイトになる選手の中で、話をしてみたいのは?
清水投手 ドラフト1位で呼ばれた柴田獅子投手(187㎝/福岡大学附属大濠高校)と、2位の藤田瑠生投手(198㎝/東海大学相模高校)。(二人とも)身長が高いので、良いところを盗みながら頑張っていきたいなと思っています。
――今年、前商の先輩の井上温人投手が巨人で活躍したが。
清水投手 冬休み中に前商のグランドに来ていただいたんですが、キャッチボールを見ていると、自分では投げられないようなストレートや質の良い球を投げていたので、自分も井上投手のように抑えられるようなピッチャーになりたいと思います。
――(住吉監督への質問)巨人の井上温人投手以来5年ぶりのプロ指名について。
住吉監督 なかなかプロになるのは難しいことだと思います。井上以来、指名される選手が出てきたことは誇りですし、本人が本当に頑張ったんだなと感じます。後輩たちの励みにもなりますし、学校としても野球部としても非常に喜ばしいことだなと感じています。
――高校時代に伸びたポイントと、プロで磨きたい部分。
清水投手 高校で、体幹や柔軟性の部分は重視してやっていました。プロで磨かなければいけないポイントは制球力だと思うので、もっと体幹トレーニングをして体の強さを出していければいいと思っています。
――プロのスタートラインに立った今、1年生の時に左膝半月板損傷の大怪我を負い、7か月にも及ぶリハビリをしたことがどう生きているか。
清水投手 怪我をした時は、また野球ができるのだろうかというぐらい不安な気持ちでいっぱいだったんですが、友達や家族に「この怪我をしてよかったって思えるように高校を卒業すればいい」と誓ったので、結果的にプロに入ることができてよかったです。
――(父への質問)今の気持ちと、どんな言葉を息子さんにかけてあげたいか。
清水政良さん まず選んでいただいた北海道日本ハムファイターズさんに感謝申し上げたいです。こうやって多くの方に集まっていただいて、前商でも校長先生をはじめ多大なる(会見の)準備をしてくださっています。そして、住吉監督は、怪我をした時も諦めずに指導し続けてくださいました。みんながいたからこその今の大暉だと思っていますので、私はもう本当に感謝の気持ちでいっぱいです。苦境を乗り越えながら、野球以外でも学んだことはたくさんあると思います。これからプロの世界に入りますが、人間としても野球人としても成長してもらえればいいと思います。
<了>
■Profile
清水大暉(しみず・だいき)
2006年7月17日生まれ、群馬県渋川市出身。渋川エンジェルス~渋川市立古巻中学校~群馬県立前橋商業高校。投手。右投右打。192㎝・95㎏、50m走6.5秒。高校での大会通算成績は、試合数20、投球回77、被安打55、奪三振92、与四死球35、自責点18、防御率2.10。
192㎝の長身から投げる角度あるキレのあるストレートが持ち味。最速149キロのストレートのほか、スライダー、カーブ、スプリットなどの多彩な変化球を操り、三振を取れる投手。
温厚で、誰に対しても誠実に接することができる性格。目的や目標を明確にして努力できる投手でもある。高校1年の時に左膝半月板を損傷し7か月間のリハビリを強いられたが、住吉監督から「怪我をした期間をどう過ごすのかを考えて欲しい」との思いで渡された松井秀喜氏の著書『不動心』から、松井選手の怪我をしても前向きに取り組む姿勢を学び、苦手なことを積極的にやる意識が芽生えた。
2年生の時に、第105回全国高等学校選手権大会群馬大会で抑え投手として活躍し、甲子園出場に大きく貢献。3年生の時には、エースとして副主将としてチームを牽引し、第76回春季関東大会出場や第106回選手権群馬大会準優勝の成績を収めた。