群馬の高校野球2023夏 太田高校編③ 布川大翔 

野球人生の集大成となる夏。たくさんの人たちの想いを背負い、攻守で活躍を誓う

布川大翔(ぬのかわ・たいと)
3年・捕手
2005年11月6日生、太田ボーイズ(みどり市大間々中学校)出身、183㎝・77㎏、右投左打

――岡田友希監督から守備のサインを布川君に任せていると聞きました。その中でピッチャーをリードするときに大切にしていることはありますか

 3年生には3人のピッチャーがいるんですけど、皆、性格が違うんです。チャンスの場面で肩に力が入りやすいとか、逆にアドバイスするよりは何も考えない方がいいボールを投げるピッチャーもいます。それぞれ性格に合わせた声掛けを意識しています。性格を知るためには普段の会話が大事だと思うので、1対1の会話は大切にして、それをプレーにつなげています。

――仲間を知る意味でも「つながりノート」が役に立つのではないかと思いますが、このノートの良さはどんなところですか。

 ノートに関しては3つあるんです。「つながりノート」と「個人ノート」と「バッテリーノート」。ノートに書きこむのは、その日の振り返りだったり、あとはみんなが見るものなので、そこに自分の本音を書くことで、「こいつはどう思っているのだろうか」を共有し合えるので、チーム力をより高められると思います。自分はそれを意識してノートを書くようにしています。

――ノートを書くことで自分の成長を感じますか。

 やっぱり書くことで、自分の力がついてきたのも実感できますし、あの時はこんなことを考えていたんだと振り返るのに役立ちます。

――今春は、2回戦で前橋育英と当たり0-3で敗れてしまいましたが、失点を3点に抑えることができて善戦したと思いますが。

 昨秋の練習試合で前橋育英と戦った時は、同じように宮下が投げていたんですけど、その時はボロボロにされました。ウチの特徴として2回目に対戦した時はいい試合ができるというのがあるんです。春の大会に関しては、秋の練習試合で負けた悔しさで課題に取り組んだ成果が守備面で出たと思います。ですが、やはり打撃の面で具体的な策がでず負けてしまいました。

――夏の大会に向けて取り組んでいることは何でしょうか。

 今のチームの戦力でどうすれば相手を打ち崩せるかを考えて、相手の甘いストレートを見逃さず確実にとらえる練習をチーム全員で心がけています。
 チームの傾向としては、2回目、3回目と良くなっているので、夏の大会では初戦で伊勢崎清明と対戦するんですが、昨秋の1回戦でも対戦している相手で、その時は2-1で勝っているんですけど、相手も間違いなく成長していると思うので、「入りの強さ」を意識したいと思います。

――扇の要として、ピッチャーだけでなく、内野や外野への指示も出します。そして打撃では4番を打っています。これを全部こなすのは大変ではないですか。

 正直、守備で抑えたいと考えると、結構、練習試合で、打撃面に影響することもあるんです。でもそれで影響しているようでは4番としてもキャッチャーとしてもダメだと思うし、バッティングとキャッチャーは別物と考えて、夏の大会までにそういう意識を持って取り組むように心がけています。

――太田ボーイズで活躍していたのに、高校に入る時に野球をやらないと決めていたそうですね。

 野球って特別なスポーツで、簡単に甲子園に行けないようなスポーツで、それぞれが思いを持ってやっているスものだと思うので、簡単な気持ちでは続けられないなと思ったんです。太田高校で野球を続けるかを親や中学校の先生とも相談して、最終的に自分で「またやろう」と決めました。

――太田高校で野球を続けてよかったと思いますか。

よかったです!

――今、太田高校で4番を担っていて、長打力が持ち味ですが、中学の時から長打力はあったのですか。

 中学の時はヒット系のバッターで、長打という感じではなかったです。

――長打力をつけるためにどんなトレーニングをしたのですか。

 体幹が大事だと指導の先生に言われていて、継続的に体幹を鍛えるトレーニングや、冬場のウェイトトレーニングをしていました。これが長打力にもいい影響を及ぼしているのかもしれません。

――大学でも野球を続けますか。

 大学では野球はやらないで、これからはスポーツとして楽しもうと思っています。高校に入学したときから目指している大学があるので、そこで高いレベルの勉強をしたいと思っています。

――野球にも全力で取り組んでいますが、野球と受験勉強の両立は大変じゃないですか。

 大変なんですけど、その大変さは価値あるものだと思っていますし、人生の中で何回も経験できることではないので、この状況を楽しんでやっています。正直、今は周りの生徒たちよりも少し勉強が遅れている部分も少なからずあるんですが、焦らずに今は基本を確実にこなして、部活を引退したあとに成績が上がるようにしています。今は基礎固めの時期だと考えています。

――これまで甲子園出場を夢見てきた先輩たちの思いも込めて夏に挑むわけですが、夏への覚悟を教えてください。

 自分たちじゃなくてOBの方だったり、保護者の方だったり、地域の方だったりと、いろんな方々が自分たちを応援してくださっているので、その方たちのためにも勝たなくちゃいけないなという思いで夏を戦います。絶対に勝ちたい!

<了>