群馬の高校野球2023夏 高崎商科大附属高校編③ 橋 勇人

高校通算本塁打20本を超える商大附の4番が、自らのバットで甲子園へ導く

橋 勇人(はし・ゆうと)
3年・内野手
2005年5月10日生まれ、富岡市立西中学校出身、180㎝・84㎏、右投左打

 グラウンドのあちらこちらで響く選手たちの大きな声。商大附の主砲である橋勇人にチームの特長を聞くと、「みんなで同じ方向に向かって努力できるところと、元気の良さです」と教えてくれた。では、元気がいいことの利点は何なのだろうか。
 「自分たちは特に声を出すことを意識していて、ピンチの時に声を出さないと劣勢になってしまうからです。ピンチをチャンスに変えるために声を出すことを普段の練習から意識しています」
 この声を意識するというのは、選手たちが自発的に行っていることである。練習でもチームや個人の課題を解決するために、選手たち自らが考えたものを練習に取り入れている。練習の随所に、選手の自主性を重んじる姿勢が感じられる。
 「練習は、自分たちの課題に取り組むという自主練みたいな感じだったのですが、これまではあまり考えて練習をしていなかったんです。自分たちの代になって秋の2回戦で健大に0-3で負けてから、これまでのただやっているだけの練習では意味がないと気づき、意味のある練習に変えようと自分たちで決めました」
 その成果が結果として現れたのが、今春の創部初のベスト4。
 だが、橋はこの結果に満足していない。「客観的に見て、自分たちはまだ甲子園に出場できるようなチームじゃないんです」と言いながらも、準決勝で明和県央に1-4で敗れたことに、「『やってやる』という気持ちが強まりました」と、夏の戦いに向け意欲的に練習に取り組む。
 チームはもちろん、チームの中軸を担う橋自身の課題も打撃力。春の明和県央戦を振り返り、「ピッチャーがある程度抑えてくれたのに、自分たちが打てなかった」と悔やんだ。
 「夏は他チームのピッチャーも仕上がってくるので、そこを打ち崩すことが課題」と口にする。
 4番を打つ橋の打撃の持ち味は長打力。
 「ピンチの時こそ1本打って、チャンスメイクすることが大切なので、バットを振る時に外から出してしまうのを内から出すように練習しています。特に左ピッチャーが苦手なので、その苦手意識を克服するような練習をしています。そのおかげで左ピッチャーへの苦手意識はなくなりました」
 5月下旬には横浜高校硬式野球部元監督の渡邊元智さんにバッティングを指導してもらった。
 「バッティングで無駄な動きをなくして打てるようにする練習を教えてもらいました。ティーバッティングで、ボールが離れた瞬間にすぐにバットを振るという練習だったんですが、無駄な動きがあると打てないんです」
 5月末時点で高校通算本塁打21本を打った橋は、夏の大会でさらに5本のホームランを打つことを目標に掲げた。そして、春に明和県央のエース須藤翔太のボールを打てなかったため、「須藤君からホームランを打ちたい」とリベンジに燃える。
 狙うのはもちろん創部初の甲子園出場。橋のバッティングに期待がかかる!

<了>