ザスパ群馬
青木翔大
2019年にザスパをJ3優勝、J2復帰に導いた青木翔大選手が、クラブへの熱い思いを胸に4年ぶりに再びザスパに戻ってきた。1月6日に行われた新体制発表会見後に、青木選手に今季にクラブへの思いを中心に話を聞いた。
取材/星野志保 写真提供/ザスパ群馬
――4年ぶりのザスパ復帰になりました。ザスパはJ2からJ3へと戦いの舞台を変えますが、ザスパに戻ることに迷いはありませんでしたか。
秋田は契約満了でしたし、J3でプレーするならザスパだと思っていましたから迷いは全くなかったですね。タイミングも重なり、オファーもいただけましたので、ザスパに戻ることができてよかったと思います。今は、ザスパを昇格させることしか考えていないし、それが達成できてから「帰ってきたんだ」と思えるので、本当に結果を出すしかないです。
――ザスパを離れてからも、ザスパのことは気になっていましたか。
過去、自分が在籍したチームは全部気にしています。その中でもザスパは思い入れの強いチームで、知っている選手も何人かいたので、ずっと気にかけていました。
――ザスパのサッカーについてどのように思っていましたか。
僕自身、対戦相手について深く考える余裕があったわけではないので、ザスパのサッカーについてどう思うのかと聞かれたら、正直なところ、特別なことは思ってはいなかったのですが、結果が出ていないのは気になりましたし、「何か原因があるのではないかな」とは思って見ていました。
――昨年の8月に秋田からザスパに同時期に移籍した小柳達司さんとは、再びチームメイトになりました。小柳さんからはザスパについて話を聞いたりしていたのですか。
彼とは年齢も近いですし、性格もすごくいいので、時間を共にすることが多かったんです。もちろんザスパの話も聞いていましたし、「また一緒にやれたらいいね」って冗談半分に言ったりしていたので、それが現実になってとても嬉しいです。
今は、「ザスパ群馬」と呼称が変わりましたけど、ザスパの発祥は「草津」ですし、そこは大事にしなきゃいけない。ザスパができてからのこれまでの歴史は絶対に忘れてはいけない。今まで支援や応援してくださった人たちがいるからこそ、今、僕らがこの舞台でプレーできているんです。それをこれからも引き継いでいかなきゃいけないと思っています。今季から超攻撃的サッカーを取り入れますし、「Chasing Glory ~栄光に向かって疾(はし)れ」とフィロソフィー(クラブ理念)が新たにできましたけど、選手はそれらを確実にやるのはもちろんですが、変えてはいけない(ザスパの良い)部分もあると思うので、それらを踏まえて、僕ら年長者が若手を上手く引き上げていかなきゃいけないと思っています。
――昨季の最終戦の翌日に、小柳さんが「ザスパの良さでもあった泥臭さがなくなった。もう一回取り戻したい」と話していましたが、それについてどう思いますか。
僕も、対戦相手としてザスパと戦った時にそれは感じました。そこは本当に変えなきゃいけない部分ですし、泥臭い部分はザスパの良さでもありクラブの歴史としてつながってきた部分でもあるので、そこは大事にしていきたいと思います。
――具体的に、ザスパの泥臭い部分がなくなってしまったのは、どういうところで感じたのですか。
泥臭い部分がなくなった背景に、その時の監督が求めるサッカーやいる選手のカラーによっても変わってくると思うのですが、サッカーの根幹の部分の(攻守の)切替えだったり、球際のところだったり、走るっていうところで、きれいにサッカーをしようとしているなと感じました。僕が在籍していた秋田は、そういう泥臭い部分を大事にしているチームだったので、対戦していたときに余計にそう感じました。
――以前もザスパに在籍していた選手として、そしてベテランとして、どんなことを若手に伝えたいですか。
以前、僕もザスパでJ2に昇格して、J2の舞台でサッカーをして、人生が変わったといったら大げさかもしれないですか、まだまだ上(のレベル)でもできるんだと思いました。今季は選手の大半が25歳以下になりますが、J2に上がれるか上がれないかで今後のサッカー人生が変わっていきます。彼らは若いからこそ、まだまだ上に行けると思いますし、J2だけでなく、J1、日本代表とつながっていくので、僕らベテランが彼らを導いていかなきゃいけないと考えています。かといって、僕もまだまだ若い選手に負けるつもりもないですし、まだまだサッカー選手として上手くなると思っているので、J2に上がって、J1にも行って、ザスパを盛り上げていきたいと思っています。そういう部分も若い選手に伝えながらやっていきたいと思います。
――練習が始まって2日が経ちました。沖田監督はどんな指導者ですか。
サッカーに対してすごく情熱的で、選手とチームの両方の成長を考えているような本当にサッカーが大好きな人なんだなと感じました。
――今季はどんなシーズンにしたいですか。
今季は、本当に結果を残していくしかないです。シーズンの中で良い時も悪い時も絶対にあります。そういう時こそ、皆さんの応援が必要です。チームは多少の浮き沈みがありながらも、右肩上がりの成績を残し、最後は皆で笑ってシーズンを終えられたらいいと思います。いろんなことを試行錯誤しながら、トライ&エラーを繰り返しながら、チームとしても個人としても成長できればいいですね。
――今季、クラブは「Chasing Glory ~栄光に向かって疾れ~」というクラブ理念を新たに掲げましたが、理念があることは選手にとってどんな効果がありますか。
方向性を見失った時に、理念があることでそこに立ち返ることができるのは、とても良いことだと思います。結果によっていろんなことが左右されがちですが、理念があることでブレずにいられます。周りのさまざまな声にも負けずに、目の前のやることを全うするだけです。
――最後に、青木さんのザスパへの復帰を心から喜んでいるファンへ、一言お願いします。
皆さんが温かく迎えてくれるのは素直に嬉しいですね。以前、在籍していた時とは歳も違いますし、経験もプレーも以前とは全く違うとは思いますが、ザスパに戻ってきたことがゴールじゃなくて、しっかり得点やアシストといった結果を残してこそザスパに帰ってきたと自分では思っているので、本当に結果を出すだけだと思っています。そして、ザスパだけでなく、群馬県を盛り上げたいので、そのためには皆さまの応援や支援が必要なので、どんな時でも熱い応援をお願いします。それから皆さんにお願いがあります。僕自身は、結果を出すことにフォーカスしていますが、若い選手たちには言い過ぎないようにしていただけたらありがたいです。サポーターの声は、良くも悪くも選手のパフォーマンスを左右します。彼らが伸び伸びプレーできる環境を作るためにも、僕らベテラン選手も気を配らなければなりませんし、皆さんにもそこはお願いしたいです。選手はもちろんサポーターの皆さんと一丸となって、J2昇格の目標を達成できたらいいと思っています。
<了>
■Profile
青木翔大(あおき・しょうた)
1990年8月11日生まれ、神奈川県出身。毛利台FC → クラブフットワークJrユース → 鹿島学園高 → 桐蔭横浜大 → 横浜FC(J2) → AC長野パルセイロ (J3)→ 横浜FC(J2) → FC琉球(J2) → 横浜FC(J2) → アスルクラロ沼津(J3) → ザスパ群馬(J3・J2) → ブラウブリッツ秋田(J2)。2019年にザスパがJ3 2年目にシーズンに加入し、24試合出場10得点とクラブのJ2復帰に貢献。今季ザスパには4年ぶりの復帰となり、再びザスパのJ2昇格の力となる。182㎝・73㎏、ポジションはFW、背番号9。