チーム成長の原動力になったキャプテンの姿勢
瀬下恵太(せじも・けいた)
3年・内野手・主将
2005年11月18日生まれ、藤岡市立北中学校出身、170㎝・66㎏、右投右打
商大附の部員75人をまとめるのが主将の瀬下だ。彼を主将にした理由を渡辺賢監督に尋ねると、「正直、体も華奢だし、ここまで頑張ってこられる選手だとは思わなかったんです」と前置きし、「瀬下が1年の冬に、私が他の選手を褒めたところ、練習後に私のところに来て『自分の何がダメなんですか』と聞いてきたんです。今まで彼だけですよ、そう聞いてきたのは」と瀬下の練習に取り組む姿勢や成長に貪欲な姿勢を評価し、主将に指名したのである。この瀬下の頑張りがチームを救ったこともある。
瀬下がショートを始めてから、まだ1年ほどしか経っていない。昨春にコロナウイルスの感染により体調不良者が出たことで、これまでサードや外野で出場していた瀬下が公式戦で初めてショートに出場したのがきっかけだった。その後、シュートに定着。球界を代表するシュートである埼玉西武ライオンズの源田壮亮の守備を見ては、「無駄がない」動きを参考にする。
刺激になったのは、横浜高校との練習試合で見た緒方漣のシュートの守備だった。緒方は今年のドラフトの目玉選手の一人でもある。
「一歩目の速さや打球に対する足の運びはすごい」
プロ注目の全国レベルの選手のプレーに驚いた。
県内では健大高崎のショート・半田真太郎。「対戦した時にスピード感ある守備だった」と、改めてさらにスピード感の大切さを実感した。
夏の大会に向け、守備の練習にも余念がない。
「守備のミスの8割は送球って言われているので、送球ミスは絶対になくそうと思っています」
また、打撃練習にも力を入れる。それは、今春に1番打者として出塁することができなかったからだ。チームとしても打撃力が課題。そこで選手同士で話し合い、卓球のピンポン球ほどの大きさの穴の開いたボールを細いバットで打つ練習を取り入れた。この練習を選手たちは「ミニボール」と呼んでいる。小さいボールを細いバットの芯で捉えることで、コンタクト率を上げる効果が期待できるという。
烏川河川敷の広々としたグラウンドに響きわたる元気な選手たちの声を聴いているうちに、「このチームのキャプテンをやってよかったと思うところは?」と思わず尋ねた。
すかさず瀬下は「ミューティングで自分を発言したことを皆がやってくれるところは、チームの一体感があるなと思います。特に3年生は仲がいいのでキャプテンをやっていてよかったなと思います」と答えてくれた。
チームに学年の垣根はない。「Aチームにも下級生がいるので、学年に関係なく皆でアドバイスし合ったり、指摘し合ったりしています。特にチームワークは大事にしています」と教えてくれた。
夏の大会で目指すのは、今春の大会で出したこれまでの最高成績ベスト4を超えることはもちろん、その先の甲子園出場だ。
<了>