ゾーンディフェンスを攻略できず、まさかの敗戦。B2優勝は翌日に持ち越す

ファイナル ゲーム2
群馬クレインサンダーズ 80-83 茨城ロボッツ
[1Q]群26-23茨 [2Q]群20-17茨 [3Q]群19-21茨 [4Q]群15-22茨
2021年5月23日(日)太田市運動公園市民体育館 観客1555人

B2優勝をかけた茨城ロボッツのファイナルに臨んだ群馬クレインサンダーズ。ゲーム2では、相手のゾーンディフェンスに苦しみ、80-83で惨敗。今季、ホームで無敗を誇っていたサンダーズに初黒星が付いた。
取材/Eikan Gunma編集部

3ポイントシュートを放つ茨城の福澤晃平。サンダーズはアウトサイドシュートに苦しめられた

 前半は、サンダーズが得点すれば、すぐに茨城が追いつくなどシーソーゲームを展開し、第2Q終了時点で46-40とサンダーズが6点リード。しかし、後半になって茨城が試合を優位に運ぶ。
第3Q残り6分7秒、笠井康平の3ポイントシュートで59-47と12点差でリードしたものの、そこからサンダーズはアウトサイドシュートが入らなくなり、リバウンド争い胃も負け、第3Q終了時点で65-61と4点差まで迫られた。
 第4Qになっても茨城に傾いた流れは変わらず、チェハーレス・タプスコットのレイアップやアウトサイドシュート、福澤晃平のファストブレイクからのレイアップシュートで、残り7分4秒に64-69と茨城にリードを許した。

笠井康平の3ポイントシュートで、一時は最大12点差を広げた

「タレントのいるチームに対しては、違う形で守ることが必要。同じように守っているだけでは相手にとってはやりやすく、気持ちよくプレーされてしまう」(リチャード・クレイスマンHC)と、守りの形をゾーンに変えた茨城を攻略できないサンダーズは、放ったシュートをことごとく外し、ディフェンスリバウンドを取られて、それが失点につながった。
 残り5分10分に福澤のファストブレイクからのジャンプシュートで、67-75と茨城にリードを広げられたものの、ブライアン・クウェリのフローターでスコアし、じりじりと点差を詰めていった。

腰の調子が悪かったブライアン・クウェリだったが、プレーオフで復調

 「1本、3ポイントシュートが決まれば(茨城に傾いた)流れが変わるかもしれない」と、インサイドから得点していたクウェリに代わり、3ポイントシュートを得意とするキーナンを投入。直後に、ジョーンズのレイアップシュートなどで80-79と逆転するも、その直後に取った茨城のタイムアウト後のトラソリーニのジャンプシュートで80-81と再び茨城にリードを許した。
 期待した3ポイントシュートが決まらないまま、残り3秒で福澤に与えたフリースロー2本で80-83とリードを広げられたサンダーズは、後半3回目のタイムアウトを取り、平岡HCは、トレイにボールを持たせることと、シューター陣を外に広げる指示を出した。ジョーンズには、「自分でシュートに行くのか、それともシューター陣を生かすのかは自分でジャッジしなさい」と伝え、これまで何度も接戦をものにしてきた選手たちにかすかな望みをかけた。

トレイ・ジョーンズのレイアップシュートで、80-79で逆転
残り3秒でアイムアウトを取った平岡富士貴HC

 タイムアウト明けのスローイン。パーカーからパスを受けたジョーンズが自ら3ポイントシュートを狙ったが、「入ってくれ」という願いは叶わず、試合終了のブザーが鳴った。
 今季、プレーオフも含めてホーム戦で無敗を誇ってきたサンダーズが、優勝を目前に初めてホームで敗れた。平岡HCは、「相手のゾーンディフェンスに対して躊躇(ちゅうちょ)したり、ガードがコールしても各々が勝手に動いてしまったりというのが何回かあった。共通理解ができずにシュートに行くのかパスをするのかに迷いが生じていたので、タイムアウトを取ったが、なかなか(状況を)打開できなかった。アウトサイドシュートが入らないと、当然ゾーンも継続されてしまうし、厳しかったかなと思います」と、肩を落とした。さらに終盤に、ゾーンディフェンスに対してフローターシュートでスコアしていたクウェリを交代させたことに、「もしかしたら(あのまま)ブライアン(・クウェリ)だったら、どうだったのかな、とタラればの話ですけど」と、悔しさをにじませた。

今季初のホームでの敗戦と、B2優勝をきめられなかったことに悔しさをにじませる選手たち


 ターンオーバーから茨城に速攻を許してしまったことにも平岡HCは触れ、「自分たちのオフェンスが上手くいかなかったり、ターンオーバーから走られてしまったりしたときに、ウチのビッグマンたちが戻り切れていなかった。ファウルだ、ファウルじゃないと倒れて、戻りが遅れてしまうことがあったので、こういう独特な試合の中で気持ちはわかるが、まずはチームが勝つためにプレーすることが大事。そういったところを堅実にプレーすれば、速攻からの失点は減ると思います」と、チームプレーができなかったことを挙げ、「10点リードしているときに気持ちが緩んだ」と、前日と同様にディフェンスでの気の緩みを課題に挙げた。
 この試合で、10得点を挙げた笠井康平は、「相手がゾーンをしてきたときに、こちらの足が止まってしまったり、トランジションで走れなくなったりしたところが、相手のテンポになったことが敗因の一つ。ゾーンを敷かれて上手く打開できるように、映像を見て反省して、明日、修正したいと思います」と、今季見たことがないほど厳しい表情で試合を振り返った。

 1勝1敗で第3戦までもつれ込んだファイナル。泣いても笑っても明日でB2王者が決まる。「群馬は勝率が高く、ホームで無敗を誇っていたチーム。素晴らしい選手、コーチが揃ったチームに勝利できたことを嬉しく思う。個人的には、もう一日このチームで指揮をしたいと思っていたので、そのような機会が得られてうれしく思います」と笑顔を見せた茨城のリチャード・グレスマンHCに対し、サンダーズの平岡HCは、「非常に残念な結果ではありますが、気持ちを切り替えて、あと一試合楽しみたいと思います」と必死に前を向いた。

<了>

開場を待つブースター
試合前のハドル
スターティング5
ティップオフ
笠井康平
トレイ・ジョーンズ
マイケル・パーカー
トレイ・ジョーンズ
山崎 稜
コート上で話をするジャスティン・キーナン(右)、山崎稜、ブライアン・クウェリ
小淵雅
佐藤文哉
ジャスティン・キーナン
野﨑零也
野﨑零也
野﨑零也
小淵雅
笠井康平(左)と福澤晃平(右)
トレイ・ジョーンズ
トレイ・ジョーンズ
ディフェンスリバウンドを取ろうとするサンダーズの選手たち
マイケル・パーカー
チェハーレス・タプスコットのシュートを阻むマイケル・パーカー
笠井康平
笠井康平
平岡富士貴HC
小淵雅
ジャスティン・キーナン(左)とチェハーレス・タプスコット
小淵雅
山崎 稜
野﨑零也
明日のリベンジを誓う