セミファイナル ゲーム1
群馬クレインサンダーズ 94-90 越谷アルファーズ
[1Q]群22-28越 [2Q]群21-19越 [3Q]群31-26越 [4Q]群 20-17越
2021年5月15日(土)ヤマト市民体育館前橋 観客1115人
レギュラーシーズンを、32勝5敗、勝率.912と、東地区優勝、プレーオフ出場順位1位で終えた群馬クレインサンダーズ。「自分たちがどれだけ強いか、どれだけ力があるかを証明するチャンス」(平岡富士貴ヘッドコーチ、以下HC)と臨んだプレーオフ。5月8、9日のクオーターファイナル(準々決勝)では、山形に87-63、79-60と連勝し、セミファイナル(準決勝)に進出した。
2戦先勝方式のセミファイナル。対戦相手の越谷アルファーズに2勝すれば、B1昇格が現実となる。ここでは、5月15日(土)にヤマト市民体育館前橋で行われたセミファイナル第一戦をレポートする。
取材/Eikan Gunma編集部
「レギュラーシーズンで、前半リードしているときの勝率は7割ぐらい。普段通りよりも少し気持ちを高めていこう」
平岡HCは、試合前に選手たちにこう伝えてコートに送り出した。
レギュラーシーズンで圧倒的な強さを見せつけた選手たちだったが、B1昇格をかけたセミファイナルのプレッシャーは、彼らに重くのしかかっていた。
試合開始直後、笠井康平の2ポイントシュートでサンダーズが先制。しかし、アイザック・バッツ、クレイズ・ブラッキンズというリーグ屈指の強力なインサイドの選手を擁する越谷アルファーズにリバウンドを取られ、警戒していた長谷川智也に気持ちよく3ポイントシュートを打たせてしまうるなど、22-28と6点ビハインドで第1Qを終えた。
第2Qは、ブライアン・クウェリや野﨑零也、ジャスティン・キーナン、トレイ・ジョーンズのシュートで34‐30と逆転するものの、バッツやブラッキンズにリバウンドを取られ、再び越谷にリードを許した。
レギュラーシーズンでも、サンダーズのビッグマンたちが体を寄せてバッツに圧力をかけ、リングからこぼれたボールを外にはたいて、そのボールを味方が広いトランジションを仕掛けるなど、バッツ対策にさまざまな策を講じてきた。この日は、「我慢してバッツ選手とポジション争いをしても、リバウンドを取られてしまうので、バッツ選手よりも先に飛びなさい。その後ろからもう一人飛びなさいと伝えていた」(平岡HC)のだが、「それができず、逆に(いい)ポジションを取られてしまった」と、ゲームプラン通りにはいかなかった。
その後は、何度もリードが入れ替わるシーソーゲームとなったが、74-73と1点リードして迎えた4Q。残り5分を切ったところでクウェリのレイアップシュートが決まり、この得点がサンダーズにとって4Q最初の得点になったほど、攻撃が機能しない状況が続いた。
オフィシャルタイムアウト(2、4Qのそれぞれ残り5分を切ったところで取られる2分間のタイムアウト)で、平岡HCは、チームの心臓部であるマイケル・パーカーに「このチームが勝つか、勝たないかはあなた次第」と伝え、驚異的な集中力でこれまで何度も接戦を制してチームに勝利をもたらしてきたパーカーに奮起を促した。オフィシャルタイムアウト明け直後にヒンクルに3ポイントシュートを決められ76-86と越谷に10点のリードを許したものの、ここからサンダーズの反撃が始まった。
笠井の3ポイントシュートで79-86と点差を詰めると、長谷川からボールを奪った野﨑がそのまま速攻で2点を追加。笠井のディフェンスリバウンドからトレイ・ジョーンズがドライブで速攻を仕掛けてフリースローを獲得。ジョーンズが2本決めて85-86と1点差まで詰めるなど、サンダーズは驚異的な追い上げを見せた。ブラッキンズにフリースロー1本を決められ85-87と2点差にされたところで、ジョーンズのロゴピック(リング付近のBリーグのロゴマーク付近からピックアンドロールをしかけること)から野﨑の3ポイントシュートが生まれ、逆転に成功。「前半、シュートを打てるところを打たなかったので、後半は(ボールを)もらったら思い切って打とうと決めてきめていました」と野﨑。「このシュートを決めたことはうれしかったですが、また2ポイントシュートを決められたら逆転されるので、気を引き締めてディフェンスからやろうと決めていました」と、すぐに気持ちを切り替えた。
前半から長谷川、畠山に対し、山崎稜と野﨑が激しいディフェンス仕掛けていた効果が、終盤にようやく現れてきたのも、サンダーズにとって追い風となった。
「37、38分まで、群馬のディフェンスに対して戦い続けていたので、足が残っていなかった。勝負所で選手の足を残してあげられなかった」と試合後に悔やんだ越谷の高原純平HC。最後に、3ポイントシュートが武器のヒンクルに代わり、インサイドで勝負しようと、ブラッキンズをコートに入れたが、逆にこの交代が裏目となり、試合終了間際に畠山に3Pをしずめられるものの、94-90と制し、セミファイナル第1戦目をものにした。
試合後、バッツやブラッキンズと対峙したキーナンは、「彼らは僕よりも体が大きく、リバウンドの面でもボックスアウトの面でも上回られてしまったが、40分間通じて同じ強度のディフェンスができたかな。今日は、僕も含めオフェンスでチームとして上手くいかないところがあったので、明日は、チームとしての共通理解を再確認し、もっと簡単にゲームを進められたらと思います」と自身のプレーを振り、明日の試合の抱負を語った。
平岡HCは、「全員でペイント内を守る意識が大分薄れて、ゲームプラン通りにいかなかったし、選手を動かせなかった。それは私のミスでもある」と苦しかった試合を振り返った。そして、「バスケットって、リバウンドなんだなと改めて感じた」と言い、「明日は今日以上の試合ができるようにしっかり準備して臨みたい」と、B1昇格を決める明日の大一番に決意を新たにした。
<了>